研究課題/領域番号 |
61870048
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡部 哲郎 東京大学, 医学部(病), 助手 (80169135)
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研究分担者 |
萩原 弘一 東京大学, 医学部(病), 医員
渡辺 純一 東京大学, 医科学研究所, 助手 (20201189)
藤沢 道夫 東京大学, 医学部(病), 医員 (60218998)
浦部 晶夫 東京大学, 医学部(病), 講師 (60142246)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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キーワード | コロニー刺激因子 / 癌 / 顆粒球減少症 / 骨髄移植 / 化学療法 / 放射線照射 |
研究概要 |
顆粒球は、白血球の中でも感染防御の最前線で細菌の侵入を防ぐという大きな役割を果たしている。現在までcolony-stimulating factors(CSF)と呼ばれる液性因子がその産生を調節していると考えられていたが、その作用はin vitroでの骨髄細胞の培養によってのみ評価されていた。従って、これらのCSFsがin vivoで顆粒球産生の調節を行っているか否か不明であった。ごく最近になって、これらの因子の大量産生が遺伝子工学的手法によって可能となり、その結果いわゆるgranulocyte CSFが生体における顆粒球産生の主役であることが明らかにされた。我々はこのgranulocyte CSFを産生するヒトの腫瘍細胞を用いて、この因子の分離および遺伝子工学的手法による量産化に成功した。ここでは特に悪性腫瘍の化学療法や放射線治療の際に起こる重な副作用である顆粒球減少症にこのG-CSFが有用であるか述べる。またG-CSFは単に顆粒球の産生を促進するのみでなく、その機能も調節している。従って顆粒球減少症のみでなく、篤顆粒球の機能低下を来す疾患においても有用な治療薬となることが示唆された。癌の化学療法を行う場合、その薬剤が目的とする癌に効果があるか否かは、その薬剤が骨髄などの人体の正常組織に対して回復可能な程度の障害をきたす用量を投与した場合に腫瘍縮小効果を示すか否かということで決まる。従って、生体の正常組織のその薬剤に対する抵抗力を増大させた場合、その薬剤の投与を増やすことが可能である。骨髄抑制の中でも最も重要な顆粒球減少にたいして、G-CSFは生体側の薬剤に対する抵抗力を増大させることが可能な因子と考えられる。癌の化学療法において生体側の条件を改善させることによってその治療効果を増大させることは、今後更にその重要度が高まってくると思われる。G-CSFによって、生体側の抵抗性増大による新しい化学療法の展開が実際の臨床上著しい治療効果の改善をあげるものと期待される。
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