1986 年度実績報告書

シアロ糖脂質ガングリオシド及び合成類似体を有効成分とする抗白血病剤の開発と応用

研究課題

研究課題/領域番号	61870050
研究機関	自治医科大学
研究代表者	斎藤政樹自治医大, 医学部, 教授 (60012762)
研究分担者	伊藤正善メクト(株), 研究開発部, 課長大田雅嗣自治医科大学, 医学部, 助手 (90160514) 野尻久雄自治医科大学, 医学部, 助手 (70180742) 北川誠一自治医科大学, 医学部, 講師 (50133278) 須田年生自治医科大学, 医学部, 講師 (60118453)
キーワード	シアロ糖脂質 / ガングリオシド / ヒト骨髄性白血病細胞 / 分化誘導活性 / HL-60細胞株 / シアロコレステロール / グリコシド結合 / シアル酸
研究概要	1)ヒト骨髄性白血病細胞分化誘導活性を持つガングリオシドの糖鎖構造特異性:白血病細胞株HL-60の2方向性分化現象において各分化方向に特異的なガングリオシド分子種増加が見られること、更に増加する分子種が各細胞系列の分化誘導因子となり得る事を発見した(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83,782,1986)。この事実は分化現象における糖脂質発現の特徴的変化が分化の2次的結果ではなく、分化の原因となっている可能性を示唆し、同時に白血病細胞の分化停止原因の一つが分化に必須なシアロ糖脂質分子種発現不全にあることが推察された。ガングリオシドGM3の非リンパ性白血病細胞に対する増殖抑制、単球系分化誘導活性を明確にするため、GM3類似体の作用を比較解祈した。GM2やN-グリコリル型GM3には分化誘導能が殆ど認められず、合成N-アセチル型GM3に天然GM3に匹敵した活性が認められ、この分化誘導活性はNeuAc(α2→3)Ga1(β1→4)G1c(β1→1)Cer構造に特異的であり、CM3精製段階の極徴量混入物による疑いは完全に否定された。2)合成シアロ糖化合物によるヒト骨髄性白血病細胞の分化誘導:化学合成可能となった脂質性シアロ糖化合物(既に20種以上のガングリオシドおよびその類似体の有機合成に成功した。)の骨髄性白血病細胞の増殖・分化に及ぼす影響を検索した。細胞増殖は5×10-7Mのα2→3グリコシド結合のシアロコレステロールにより抑制され、培養時間の進行とともに一次顆粒・核小体の消失、2次顆粒の出現細胞質塩基性の淡染色化、OKM1陽性細胞の増加など分化現象が認められた。この効果は濃度依存性であり、且つα2→3型グリコシド結合の光学異性体β型の分化誘導活性は極めて弱い。遊離シアル酸のみでは効果がない事実から、増殖抑制・分化誘導には糖鎖部分と共に脂質性の疎水部分が必須と考えられ、またシアル酸の結合様式は天然型α型グリコシド結合が要求される事が判明した。

研究成果
(8件)

すべてその他

すべて文献書誌 (8件)

[文献書誌] Nojiri,H.;Takaku,F.;Terui,Y.;Miura,Y.;Saito,M.;: Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 83. 782-786 (1986)
[文献書誌] Ohta,M.;Furukawa,Y.;Ida,C.;Akiyama,N.;Utakoji,T.;Miura,Y.;Saito,M.;: Cancer Res.46. 3067-3074 (1986)
[文献書誌] Suda,J.;Suda,T.;Kubota,K.;lhle,N.;Saito,M.;Miura,Y.:Blood. 67. 1002-1006 (1986)
[文献書誌] Komatsu,N.;Suda,T.;Sakata,Y.;Eguchi,M;Kaji,K.;Saito,M.;Miura,Y.:Br.J.Haematol.64. 241-252 (1986)
[文献書誌] Kajigaya,S.;Suda,T.;Suda,J.;Saito,M.;Miura,Y.;Lizuka,M.;Kobayashi,S.;Minato,N.;Sudo,T.:L.Exp.Med.164. 1102-1113 (1986)
[文献書誌] Kubota,K.;Kajigaya,S.;Ijima,H.;Saito,M.;Miura,Y.:Acta Haematol.Jpn. 49. 27-33 (1986)
[文献書誌] M.Saito;H.Nojiri;Y,Miura: "Experimental Hematology Today-1985(Baum,S.J.et al .,eds.)" Springer-Verlag,New York, 64-74 (1986)
[文献書誌] Suda,T.;Sato,Y.;Suda,J.;Kubota,K.;Saito,M.;Miura,Y.: "Megakaryocyte Development and Function" Alan R.Liss,lnc.,New York, 355-359 (1986)

1986 年度 実績報告書

シアロ糖脂質ガングリオシド及び合成類似体を有効成分とする抗白血病剤の開発と応用

研究代表者

斎藤 政樹 自治医大, 医学部, 教授 (60012762)

研究成果

[文献書誌] Nojiri,H.;Takaku,F.;Terui,Y.;Miura,Y.;Saito,M.;: Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 83. 782-786 (1986)

[文献書誌] Ohta,M.;Furukawa,Y.;Ida,C.;Akiyama,N.;Utakoji,T.;Miura,Y.;Saito,M.;: Cancer Res.46. 3067-3074 (1986)

[文献書誌] Suda,J.;Suda,T.;Kubota,K.;lhle,N.;Saito,M.;Miura,Y.:Blood. 67. 1002-1006 (1986)

[文献書誌] Komatsu,N.;Suda,T.;Sakata,Y.;Eguchi,M;Kaji,K.;Saito,M.;Miura,Y.:Br.J.Haematol.64. 241-252 (1986)

[文献書誌] Kajigaya,S.;Suda,T.;Suda,J.;Saito,M.;Miura,Y.;Lizuka,M.;Kobayashi,S.;Minato,N.;Sudo,T.:L.Exp.Med.164. 1102-1113 (1986)

[文献書誌] Kubota,K.;Kajigaya,S.;Ijima,H.;Saito,M.;Miura,Y.:Acta Haematol.Jpn. 49. 27-33 (1986)

[文献書誌] M.Saito;H.Nojiri;Y,Miura: "Experimental Hematology Today-1985(Baum,S.J.et al .,eds.)" Springer-Verlag,New York, 64-74 (1986)

[文献書誌] Suda,T.;Sato,Y.;Suda,J.;Kubota,K.;Saito,M.;Miura,Y.: "Megakaryocyte Development and Function" Alan R.Liss,lnc.,New York, 355-359 (1986)

1986 年度実績報告書

斎藤政樹自治医大, 医学部, 教授 (60012762)