研究課題/領域番号 |
61870050
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
斎藤 政樹 自治医科大学, 医学部, 教授 (60012762)
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研究分担者 |
伊藤 正善 メクト研究開発部, 課長
野尻 久雄 自治医科大学, 医学部, 助手 (70180742)
中村 充 自治医科大学, 医学部, 助手 (20198237)
太田 雅嗣 自治医科大学, 医学部, 講師 (90160514)
北川 誠一 自治医科大学, 医学部, 講師 (50133278)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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キーワード | ガングリオシド / 骨髄性白血病 / 3分化誘導 / 増殖制御 / 薬剤耐性変異株 / 合成シアロ糖化合物 / シアロコレステロール / シアログリセリド |
研究概要 |
(1)ガングリオシドGM_3は非リンパ性白血病(ANLL)細胞に対して増殖抑制と単球系分化誘導活性を有する。合成N-アセチル型GM_3に天然GM_3に匹敵する活性が認められた。一方、顆粒球系分化で特徴的に増加するネオラクト系ガングリオシドを外来性に与えると、HL60細胞は増殖抑制を受け顆粒球系分化する。これらはANLL細胞の分化方向決定におけるガングリオシド糖鎖構造特異性の意義を強く示唆する。(2)顆粒球系分化誘導剤レチノイン酸(RA)耐性変位株は親株に比べ、ネオラクト系ガングリオシド分子種が著明に減少している。一方、外来性にネオラクト系ガングリオシドを与えると顆粒球系分化する。これはネオラクト系ガングリオシド合成がRAでの分化誘導に基本的に重要で、このスキップが欠損している変異株は外来性にこのステップがバイパスもしくはリプレイスされると分化すると予想される。またこの現象は薬剤耐性白血病をガングリオシドで治療し得る可能性と、シアロ糖脂質及び合成類縁体の臨床薬剤としての開発の将来性を示唆する。(3)化学合成可能となった多種類の脂質性シアロ糖化合物のうちα-シアロコレステロールに分化誘導・増殖制御活性が見出され、生体毒性も低い。光学異性体β-アノマーの活性は極めて弱い。遊離シアル酸のみでは効果がない事実から、増殖制御・分化誘導には糖鎖部分と共に脂質性疎水部分が必須と考えられ、シアル酸結合様式は天然型αグリコシド結合が要求される。シアログリセヲイドにも有意な白血病細胞増殖制御・分化誘導活性が見出された。シアロコレステロールはRA耐性株に対しても分化誘導・増殖制御作用をもつ事から、生体膜に直接作用して膜構築不全を改善する治療薬開発、特に薬剤耐性克服への一つの展望が開けたと考えられる。(4)増殖制御・分化誘導活性をもつCM_3は、活性をもたないCM_1に比べ、より迅速に細胞膜に結合し、膜内に進入もしくは細胞内に取込まれ、極めて速いスピードで代謝される。分化に際して内因性CM_3が増加している事実と考え合わせると、CM_3の極めて速いTurnoverが分化誘導の「引き金」と密接に関連していると予想される。
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