研究概要 |
従来関節鏡は膝関節を中心として、主として診断的に用いられていたが、近年VTRシステムの発達などとあいまって、内視鏡的手術へと発展しつつある。一般的に直径4.5mmの鏡を使用して主として膝関節に行われていた。しかし肘,手,指などの小関節や半月板後留部などの狭い部分の観察を行うためには出来る範囲で鏡を細くすると同時に充分な光量の獲得が必要である。昭和61年度科学研究費補助金でもって我々は直径1.5mm,視野角60゜,焦点深部1.0mm〜無限大の極小関節鏡を新興光器製作所の協力で開発試作した。観察はテレビモニターシステムを利用し、冷光源はVTR用にはキセノン光源を使用し行う。写真撮影にはキセノン光源とストロボ光源を併用する。ビデオカメラレンズを25mmから35mmにすることによって14インチモニターテレビで直径で6cmから9.5cm,面積で約2倍の像が得られ充分な視野の獲得が可能となった。1986年6月より現在まで膝関節18例18関節,足関節4例5関節,肘関節1例1関節,手関節1例1関節,計24例25関節に関節鏡視を施行した。麻酔は外来内視鏡室で行った15例15関節には20万倍稀釈リドカイン20〜30mlの局麻および関節腔内麻酔によって行ない、手関節には腋窩神経ブロックと局麻の併用、それ以外は腰麻または全麻で行った。関節鏡の開発、使用技術の進歩により、膝関節の関節鏡診断は確実容易で実用的なものとなりさらに肩関節,股関節にも用いられる様になってきた。しかし小関節に対しては様々な研究により完成されつつあるがまだ不充分と思われる。1986年6月より開発試作した直径1.5mmの極小関節鏡を利用して膝のみならず足,手関節などの外来検査を行っている。写真撮影の条件等に改良すべき点があるがさらに実験的関節疾患の診断や小関節の鏡視下手術などにも応用を拡大して行っていく予定である。
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