研究概要 |
1)内視鏡的に尿道,膀胱三角部を経由して骨盤神経叢を刺入し、そこえ電気刺激と薬剤注入が可能な穿刺針を試作した。しかし、この試作針は弾性に乏しいため試作内視鏡を経由して骨盤神経叢へ刺入することは不可能であった。そのため、内視鏡で観察しながら恥骨上から膀胱を経由して骨板神経叢へ刺入する穿刺針を試作した。この穿刺針は、外径20G,長さ20cmの外套針とその内腔に入る長さ21cmの針電極からなり、針電極は単極型と双極型の2種類を試作した。 2)尿道,膀胱三角部を経由して骨盤神経叢へ試作穿刺針を刺入できる内視鏡を試作した。上述の如く、この内視鏡を経由して試作穿刺針を骨盤神経叢へ刺入することが不可能であった。しかし、この内視鏡で膀胱内を観察しながら試作穿刺針を恥骨上から膀胱内へ刺入し、さらに骨盤神経叢が存在する部位へ刺入することに成功した。 3)原因不明の頻尿患者3名に上述の試作機器を用いて電極を骨盤神経叢に刺入して、電気刺激による膀胱内圧の変動を測定したが、1例に軽度の圧上昇を認めたのみであった。その症例には試作穿刺針から局所麻酔薬を注入し、骨盤神経ブロックを行ったが、膀胱内圧に有意の変動は認められなかった。 以上の如く、試作した穿刺針で骨盤神経叢の存在する部位へ電極の刺入と薬液注入には成功したが、電気刺激に対する膀胱内圧の有意の変動が認められなかったため、確実に骨盤神経叢へ刺入できたとの確証はえられなかった。今後は電気刺激の条件の検討とともに、電気刺激された骨盤神経叢の反応を捕える方法の検討が必要である。
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