研究概要 |
本年度は研究計画の初年度にあたり、重症未熟児の病態を示す各種パラメータ(生体情報)、児をと取り巻く環境情報、ならびに児を最適な条件にするための制御目的の特定と諸条件の分析をまず行った。重症未熟児の呼吸自動管理を当面の研究の目標においた。呼吸異常を判断するために、生体情報を心拍数,経皮的血中酸素,呼吸ガス分析ならびに呼吸運動に求め、個々の生体情報の信頼性を確立するために多面的信頼度判断アルゴリズム(例えば心拍数の低下が意味があると判断するためにECGパターン,Fi【O_2】,心拍数低下の過去の履歴,tcP【O_2】,呼吸曲線,児体温などの情報を比較対照するための論理)の開発に努め、専門医師と同等かそれ以上の多面的診断が可能となる実際的に信頼度の高い自動診断アルゴリズムの骨子を完成した。同時にこれらの情報収集・分析のための自動測定,記録,ならびに表示装置の開発に着手し、アナログ情報入力装置、並列演算処理可能なコンピュータ(LINKS-M1)、同表示装置を含むシステムを完成した。昭和62年度には心拍数の低下の認識、経皮的血中酸素分圧の異常の認識、呼吸運動並びに機能異常の認識を測定法の不安定さを確認しつつ、自動的に行う方法について上記システムを使用して確定することに焦点を集中し、分担して研究を進める。なお、これらの認識を行うためには、未熟児から生体情報として心電信号や呼吸ガス分析信号など11種の生体情報を集め、児の環境情報として保育器内の酸素、温度など約10種の情報を集め、それらの相互関係を明らかにしなければならないことを蛇足ではあるが付言する。これらの未熟児呼吸異常の認識とその程度の評価によって、昭和63年度には児に対する最適な環境を制御するための総合的なシステムの構築を行う予定である。なお、本年度は研究の初年度にあたり、研究発表を行う時期ではなかった。
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