研究概要 |
フミトレモルジンA(FTA)はてんかん類似の異常行動を示し、その作用は現在使われている抗痙れん薬や興奮性アミノ酸受容体拮抗物質で抑制された。この作用性を利用してんかんの人工的モデルを開発するために、FTA関連化合物を合成し、FTAと類似作用を示す物質の検索を中心に本年度は次の研究を行なった。 1)FTAおよびその関連化合物のてんかん類似作用の検定:FTAがてんかんの発生機序に関係があると報告されている興奮性アミノ酸受容体と関連性が認められたことから、FTAのin vitroの系に於て受容体に富むシナプトゾームを含む脳【P_2】画分に対する【^3H】-グルタミン酸の結合能を検定した。その結果、FTAは【^3H】-グルタミン酸の結合を増強した。 2)FTA関連化合物の合成:L-tryptophan methylesterおよび6-methoxy L-tryptophan methylesterを原料として次の物質 を検定のために合成した。更にフミトレモルジン13(FTB)の全合成に成功した。 3)共同研究者(日野,中川)によって合成されたFTA誘導体について【^3H】-グルタミン酸の結合能を検定した。その結果、12,13deoxy deprenyl FTBおよび6-demethoxy12,13deoxy deprenyl FTBでFTAよりは弱い【^3H】-グルタミン酸の結合増強を認めた。また、マウスを用いた行動観察による中枢神経作用の検定の結果、6-demethoxyFTBでFTA,Bより作用は弱いがほぼ同様の異常行動を認めた。6-demethoxy deprenylFTB 12,13transdiol 6-demethoxy FTBにも6-demethoxy FTBの2倍量でほぼ同様の作用が認められた。
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