研究分担者 |
福川 清史 東洋醸造株式会社, 医学品研究所・有機合成, グループリーダー
松田 彰 北海道大学, 薬学部, 助教授 (90157313)
石井 明 岡山大学, 医学部, 教授 (40012752)
早津 彦哉 岡山大学, 薬学部, 教授 (10012593)
|
研究概要 |
235種類のヌクレオシドアナログの抗寄生原虫作用の検索をLeishmaniatropica及びLeishmania donovaniのpromastigotesを用いて行った。その結果3-deoxyinosine(3'-dI),carbocyclic inosine(C-Ino),7-deazainosine及び3'-deoxy-3'-fluoro-inosine(3'-dFI)の4種類のイノシンアナログに非常に高い抗寄生原虫活性(50%増殖阻害濃度:4×【10^(-7)】〜8×【10^(-8)】M、化学療法係数:130〜2000)があることを見い出した。また、マウス・マクロファージ系J774・1細胞をlipopolysaccharide(1μg/ml)及びヘミン(4μg/ml)を含む無血清培地(GIT培地)を用いて、L donovaniをほぼ完全且つ持続的に浸入するin vivo like invitrocultivation systemを確立し、このシステムを用いて、動物細胞内の原虫に対する3'-α±,C-Ino,7-deatainosine及び3'αFIの効果を調べた。その結果、これら4種類のイノシンアナログはpromastigateだけでなく動物細胞内の原虫に対しても効果があることがわかった。特にC-Inoは、動物細胞内の原虫に対し、より強い効果を示した。さらにPercollを用い、L.donorani感染細胞から原虫を分離し、形態変化を見たところ、このシステムでのpromastigoteからamastgoteへの変化には5〜6日要することもわかった。一方,L.donovani感染マウスを用いて3'-dI及びC-Inoの治療効果を調べた。実験は8週令のBALB/Cマウスを用い、L.donovni promastigote(2S-15M株)を尾静注し、その後イノシンアナログを1日おきに5回i.v.投与した。4週間後マウスを解剖し、各臓器の重量を測定するとともにStamp smearをギムザ染色しamastigoteを計数した。その結果C-Ino及び3'αIはin vivoでも有効であることがわかった。現在、7-deata-inosine及び3'-dFIのin vivo実験を行っている。今年度の研究により、4種類のイノシンアナログが有効であることが判ったので、新しいイノシンアナログの合成を行い、高い選択毒性を示す化合物の検索を行っている。Trypanosoma原虫に対する効果は、現在検討中である。
|