研究課題/領域番号 |
61870095
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
名取 俊二 東京大学, 薬学部, 教授 (50012662)
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研究分担者 |
菅野 能範 明治製菓, 中央研究所, 所長
駒野 宏人 東京大学, 薬学部, 助手 (40170378)
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キーワード | センチニクバエレクチン / TNF / マクロファージ / 腫瘍診断 |
研究概要 |
センチニクバエレクチンは、センチニクバエ幼虫の体表に傷をつけたときに、体液中に誘導されるガラクトース結合性のレクチンである。このレクチンは、脊椎動物の免疫担当細胞、特にマクロファージを著明に活性化する。本研究は、担癌動物のマクロファージと、正常動物のマクロファージと比較した場合、担癌動物のマクロファージの方が、このレクチンで活性化を受ける度合が大きいという観察を出発点とした。そしてこの、センチニクバエレクチンに対する感受性の差を、個体の中の腫瘍の有無に還元出来るか否か、という点に集点を当てて研究を展開して来た。マクロファージの活性化の指標として、腫瘍壊死因子(TNF)の産生を見ることにしたが、TNFの産生に関しては、それほどよい再現性が得られず、これを指標に診断法を確立することは、やや問題があると思われた。そこで、マクロファージの表面に存在する、センチニクバエレクチンのリセプターの性質を明確にすることとし、このリセプターに対するモノクローナル抗体の作製を試みた。方法は、マウスのマクロファージ様株化細胞J774.1の膜蛋白を可溶化し、これをセンチニクバエレクチンをリガンドとするアフィニティーカラムに通し、リセプター蛋白を単離する。次に、この蛋白を抗原として、モノクローナル抗体を作製するというものであった。このような方法で、結局特異性の異なる三種類のクローンを確立した。この抗体を使って、マウスのマクロファージ上のセンチニクバエレクチンのリセプターを解析した結果、リセプターは170kDa及び110kDaの二つのサブユニットから成る、分子量460kDaの集合体であることが分った。また、モノクローナル抗体はすべて110kDaのサブユニットと反応し、その抗体の一つは、センチニクバエレクチンによるマクロファージの活性化を阻害した。従って、活性化には、110kDaのサブユニットが重要であることがわかった。
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