研究課題/領域番号 |
61870099
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
桂 義元 京大, 結核胸部疾患研究所, 教授 (90027095)
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研究分担者 |
岡田 泰伸 京都大学, 医学部, 講師 (10025661)
西川 伸一 京都大学, 結核胸部疾患研究所, 助教授 (60127115)
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キーワード | DNA / 遺伝子移入 / 電気的膜穿孔 / 電気的細胞融合 / 電気的遺伝子移入 |
研究概要 |
純化したDNAを用いた遺伝子移入の方法は種々開発されているが、どの方法にも問題があり、ヒト正常細胞に安全かつ高収率に導入しうる方法としては未だ確立していない。たとえば、プラスミド融合法やレトロビールス・シャトルベクター法は導入したい遺伝子以外のDNAまで導入される。DEAEデキストラン法は毒性が高い上に導入効率もよくない。リン酸カルシウム共沈殿法も効率がよくない上に浮遊細胞にしか適用できない。これに対し、電気的パルスによる膜穿孔法を用いた方法は、細胞種を問わず高収率に導入しうる可能性があるが、未だ誰もがどのような実験条件でも再現性よく適用できるという技術的安定性を獲得するには至っていない。そこで本研究ではそれを実現するための電気的パルス発生装置を開発することを第1に行なった。パルストランス方式に容量放電方式を組合わせて、低出力インピーダンス(200Ω)で高出力電圧(3KV)の矩形波パルスを発生しうる装置を製作した。自動制御可能な保護回路を取りつけることにより過充電や過放電に伴う電気的素子損傷防止にも成功した。パルス幅を10から200μsecの間で、パルス強度を0から3KVの間で自由に設定することができるようにし、電気的膜穿孔法による高分子導入を再現性よく高収率にかつ定量的に行うことを可能ならしめた。この高電圧矩形波パルス発生装置に交流波ブースターアンプ回路を組み合せ、更にパルス印加時には交流波出力を自動的に停止させうるタイミング回路を取り付けた。これによって高周波(最大3MHz)、高電圧(最大0.3KV)のサイン波によって大量の細胞を誘電泳動的に接着させ、パルス印加によって細胞融合を電気的に実現させることを可能ならしめた。また本年は、本装置を用いてマウスリンパ腫J558L細胞にpSV2-neoやpSV-Vμ1遺伝子を効率よく電気移入させることに予備的ではあるが成功した。
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