研究概要 |
サイロキシン【T_4】結合グロブリン(TBG)やアルブミン(ALB)など、【T_4】結合タンパクの変動に影響されず、真の甲状腺ホルモン作用を反映する検査として、遊離型【T_4】及び遊離型トリヨードサイロニン(【T_3】)の新しい測定法を開発した。すなわち【T_4】または【T_3】と酵素であるβ-D-ガラクトシダーゼ(βGal)とを4(maleimide methyl)eyclohexane-1-carboxylic acid succinanide esterで結合させた。(【T_4】-Galまたは【T_3】-Gal)。また【T_4】または【T_3】とをcarbodiimideで結合させた抗原で家兎を免疫して得た抗血清からIgG方画を分離した。 遊離型【T_4】測定法は、血清20μl,【T_4】-Gal 200μl,抗【T_4】液200μlを混じ、室温4時間インキュベート後、抗家兎γグロブリン山羊血清(第二抗体)300μlを加え、さらに4℃一夜インキュベートし、遠心後、沈殿の酵素活性をo-nitrophenol-β-D-galactopyranoside(ONPG)を基質として1ml加え、37℃2時間インキュベート後【Na_2】【Co_3】1mlで反応を停止し405nmで 光した。血清の代りに血液濾紙を用いた場合、基質として4methylumbelliferyl-β-D-galactopyranosideを用い、TSHEIA用に開発した酵素測定自動機器で測定した。この方法で濾紙血液中遊離型【T_4】は2.5-50ng/lの範囲で測定可能となった。新生児でモニタリングしたところ、健常児2595人では20.3±4.3ng/l,新生児甲状腺機能低下症で9.2±5.5ng/lと低く、未熟児で11.9±3.5ng/lとやゝ低かったが、TBG減少症では正常範囲であった。 08621258000202遊離型【T_3】測定法は血清10μl,固相化抗【T_3】〓〓液50μl,稀釈液500μlを室温16時間インキュベート後洗浄液を1ml入れて遠心し、沈殿の酵素活性をONPGを基質として測定した。本法は、ALB35-60δ/l(最終濃度)添加でも影響がなかった。測定可能域は0.7-2.6ng/l,測定内及び測定間変動係数は6.1及び9.5%。RIA法との相関γ=0.95で、臨床的に使用可能な特異的測定法と考えられる。
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