研究課題/領域番号 |
61870110
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
神田 錬蔵 聖マ医大, 医学部, 教授 (00081662)
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研究分担者 |
沢辺 京子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究補助員
小川 賢一 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (10139644)
高井 憲治 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (60121167)
池庄司 敏明 東京大学, 農学部, 助教授 (90012054)
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キーワード | 捕獲実験 / 羽音の振動数 / 化学不妊剤 / 粘着剤 / 吸血誘引物質 / 成長抑制剤ネッタイイエカ / ヌマカ属 / コガタアカイエカ / ヤブカ属 / ハマダラカ類 |
研究概要 |
研究目的が、殺虫剤を使用しない諸種駆除法の開発とその総合化にある点から、蚊を材料に実験室と野外で実験を行なった。その成果の要約を述べる。 1.ネッタイイエカの音響トラップと化学不妊剤の実験。昭和61年7・8月の2か月、マレイシア・バタワース市郊外で、2週間のネッタイイエカ個体群監視実験において、1トラップ当たり1日55.6匹の雄蚊を補獲し、捕虫網によるサンプリングの推定値との間に高い相関関係を認めた。次いで、音響トラップと不妊剤のヘンパを20日間併用した実験では、17.1%の卵舟のうち7.8%の不妊を認めた。 2.コガタアカイエカの捕獲実験では、雄についてはすでに池庄司が報告しているが、雌の捕獲の可能性を非発生源において掴んだ。雌は、羽音の低振動数のところでは少なく、むしろ雄の発する高振動数500-700Hzで多く誘引される。実験は、羽音とケージ内ハムスターとドライアイスを用い、コントロールと比較した。雌は、粘着剤をスプレーしたビニール袋で捕獲した。 3.ハマダラカ類において、羽音と吸血誘引物質を用いたトラップ12台での捕獲数は、牛1頭用いた場合とほぼ同じであり、A.maculatusとA.mimimusの個体群の監視に役立つことを知った。野外実験を続行中である。 4.ヌマカ属ヤブカ属。ヌマカ属の雄は、羽音による誘引性が顕著で、吸血誘引物質の併用は捕獲数が増加した。ヤブカ属でもこの傾向が見られた。雌は、動物,ドライアイスと音響との三者併用により羽音振動数の広い範囲で大量に捕獲が可能であった。限られた発生源では個体群の密度を極度に低下させる事に成功した。ヌマカおよびコガタアカイエカの年間発生消長をタイ国中央低湿地平原で観察中であり、個体群動態が知れよう。 5.吸血誘引については、動物以外に生化学物質の乳酸・酪酸グリオキシル酸素と成長抑制剤を、実験室内で調査中である。
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