研究分担者 |
本堂 敏信 日本分光(株), 生化学応用技術課, 技術員
遠藤 俊吉 日本医科大学, 医学部(精神医学), 教授 (80147743)
山本 保博 日本医科大学, 医学部(救急医学), 助教授 (70125079)
林田 眞喜子 日本医科大学, 医学部(法医学), 助手 (60164977)
仁平 信 日本医科大学, 医学部(法医学), 講師 (40089636)
ENDO Shunkichi Nippon Medical School, Dept.of Neuropsychiatry professor
|
研究概要 |
多剤併用薬物中毒の迅速スクリーニング並びに濃度モニタリングを目的とした緊急薬毒物分析法として, コンピュータによる多波長検出器付液体クロマトグラフィシステム(MULTI-HPLC)を開発した. HPLC分離条件は逆相ODS系カラムFinesil C_<18>S, 移動相は10mM過塩素酸/過塩素Na緩衝液70%, CH_3CN 30%, カラム温度50°C, 流速1.0ml/min, 測定感度は0.04ABU/FS, データ解析はパーソナルコンピュータ(9801 Vm2, NEC)で行われ, 解析プログラム(DP-L320)は, スペクトルの登録・検索機能, 等高線クロマトグラム表示, 3次元クロマトグラム表示, Peak Deconvolution(P-D)等で構成される, 標準薬物として本邦において発生頻度の高い65種の急性中毒原因物質を選択し単独あるいは混合してCH_3CNに溶解したものを標準試料として, 保持時間(T_R)の測定, スペクトルラィブリの作成最適波長の選択, 最適波長における検量線, P-D実施時の定量性の検討を行い, 併せて標準薬物添加血清(尿)を用いて前処理法の回収率を検討した. 又T_Rの管理にあたり保持予測概念を取り入れ, あらかじめ保持予測用データファイルを作成することにより, スペクトルとT_Rの両面から薬物の同定(ピーク同定)を試みた. 同時定量には個々の薬物ごとの最適波長による高感度な定量が可能となり, 場合によっては, P-Dによる不分離ピークの分離等で定量精度を高めた. データ解析と共に代表的な多剤併用の分析結果を示した. これらはいずれも8-11種類の向精神薬類を服用し救命救急センター入室時心肺停止か高度の昏酔を呈し, 服用薬物に関する初期情報は不明であった. 種々の基礎的検討の結果, 比較的安価な機器を用いているにも拘わらず高度なデータ解析が可能で, なおかつ従来のHPLCの利点を生かした多剤同時定量化が実現された. 今後, 検討すべき点も多いが, 一応の臨床的実用に堪えうると考えられた.
|