研究分担者 |
ウイ ホンキエン (株)北海道動物医学センター, 研究員
松崎 哲也 (財)実験動物中央研究所, 研究員 (30167647)
岡本 宗裕 北海道大学, 獣医学部, 助手 (70177096)
奥 祐三郎 北海道大学, 獣医学部, 助手 (60133716)
大林 正士 北海道大学, 獣医学部, 教授 (60001517)
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研究概要 |
エキノコックスの分布域は更に拡大し、北海道において71市町村となった(86年11月現在)。その生物的防除にかかわる本研究は以下のごとくである。 エゾヤチネズミの繁殖方法の確立:22±2°C,湿度55±5%,換気回数は新鮮空気10〜15回/時に設定した。照明は6〜20時まで点燈した。なお、夜間,別にて燭光の明りを灯した。飼育ケージは通常マウスケージを使用し、乾草と脱脂綿を入れた。飼料は市販のCE-2とベビーフッド(日本クレア)、水は給水びんにて自由に与えた。当別で捕獲した雌10;雄10匹で繁殖を試みたところ、現在,16腹・57匹が産まれ、うち,1腹・6匹はF2である。 エキノコックスと競合寄生種の選別:多包条虫E.multilocularis;北見のブタの病変を細切し、スナネズミの腹腔に投与し原頭節を得た。猫条虫T.taeniaeformis;採集地,中間宿主を異にする6株を分離した。それぞれの虫卵あるいはオンコスフェアの腹腔内、皮下などへの投与に対しては高い感受性を示すことが明らかになった。種々の感染経路で検討した結果、スナネズミでは肝が、エゾヤチネズミでは腸管粘膜が抵抗性を示す"場"として重要であることが明らかとなった。また、虻田のエゾヤチネズミから分離された株は他の株と異り、エゾヤチネズミ十二指腸管腔内へのオンコスフェア投与で肝にシスト形成されたことから、エキノコックス競合寄生種として有望である。T.crassiceps;長野県のハタネズミから分離されたシスティセルクスをICRマウスの腹腔へ移植後,実験室内継代が可能となった。また、イヌへの感染実験を行い成虫を得て、本種の発育・増殖に関する生物学的性状を明らかにした。その他、マレーシア・ケダ州のRattus spp.から双頭型システイセルクスを得て,ネコへ経口投与したが成虫は得られなかった。 今後、エゾヤチネズミのクローズドコロニーとして系統を確立し、有効なエキノコックス競合モデルを検索する。
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