研究課題
昨年度において回折計の改造を行い、付属装置としてキャピラリー回転装置も準備したので、本年度から放射光実験施設の共同利用実験の装置として登録し、一般にも開放した。本年度は試料高温装置の基礎実験とともに試作回折計を応用した実験を行なって回折計の有用性を調査し、必要があれば改良を行なうこととした。実施した応用実験とその主な結果を次に示す。結局のところ回折計の使用説明書とソフトの改良を行なった。(1)粉末試料の粒径と選択配向性の回折強度に対する影響をε走査法により検討した。粒径3μm以下のLiF、2〜3μmのSiは無配向であった。しかし試料高速回転装置を用いないときは粒径による強度のバラつきが±30%に達し回転装置の必要なことが判明した。粒径約10μmのSiでは回転してもバラつきが±30%に達する。(2)リートベルト法による構造解析をGeO_2、Lーアラニン、高温超電導体、Hf(HPO_4)_2・H_2O等について行なった。強度は十分ではないが、回折線の分解能が良いので、解析結果は良好であった。(3)GeーSe系ガラス、GeO_2系及びGeO_2ーP_2O_5系ガラスのGe吸収端付近の波長での回折測定において、Counter Msnochromatorを用いるとBachgroundsが約1/3となり、異常分散を利用した動径分布解析の精度が向上した。(4)回折線の分解能が高いために、Ni基耐熱合金のγ相とγ'相との格子定数のミスフィットの測定が可能となり、その知見をもとにして、世界最強の耐熱合金を試作できた。本研究の締めくくりとして、平成1年2月13日に最後の研究究告会を開催したが、将来は放射光実験施設での、X線粉末回折の班として活動することになるであろう。
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