研究概要 |
本試験研究は染色工程における節水および省エネルギー化,染色廃液による環境汚染の軽減,繊維布の損傷劣化防止,染色堅ろう性の向上などを目的として現状の浸染とは全く異なる泡沫(foam)を利用した機械作用の著しく弱い超小浴比(1:3〜5)、高温型の泡沫染色装置を試作するとともに水系染色の利点を生かした気/液系の泡沫染色における泡膜の物性(動的表面張力,粘性,膜厚,接触角測定など)を綜合的に検討して、泡沫による染色機構の解明を試みている。本年度は初年度にあたるためまず今まで使用してきた試作の小型泡沫染色装置による研究成果をもとに泡沫染色装置を設計、試作し、基本的な染色条件について検討した。また非イオン界面活性剤を含むバルク染液からつくられる泡(気/液界面)の表面張力の測定や、泡沫によるぬれの尺度となる接触角測定装置の試作についても合わせ検討した。 その結果、オレイルポリオキシエチレン(【P!~】=15)エーテル(0.5×【10^2】mol/l)の起泡剤を含むバルク染液中に送り込まれる空気流量は連続的かつ効果的に生成される泡量や被染物中を移動する泡の上昇速度などに関連して染色性を大きく左右するが、本年度に新たに試作した泡染色装置(FDM-TE)を用いた実験では空気流量15l/分付近にすると、80℃、30分間染色で最も高い染着量を示すことが認められる。またポリオキシエチレン系のエーテル型非イオン界面活性剤(染料親和性)を起泡剤として用いた酸性染料によるナイロンモスリンの泡沫染色では一般に高い染色性を示すが、バルク染液中の界面活性剤剤濃度を増すと染色性が低下する傾向が認められる。ポリオキシエチレン系のエーテル型非イオン界面活性剤ではアルキル基の炭素鎖長が長く、エチレンオキサイドの付加モル数が比較的大きく、また曇点が染色温度より高いオレイルポリオキシチレン(【P!~】=15)エーテルなどが泡沫染色の起泡剤に適していることが認められる。
|