研究概要 |
高エネルギー物理学研究所放射光施設での実験は、マシンタイムが少いため能率よくしかも失敗なく行なう必要があるので当該年度の4月1日〜12月31日の期間は主として試料の精製及び試料セル,試料槽などを自作し、オプティカルファイバー等の配置を決めた。以下に要点を示す。 1.本研究で用いる高感度光学モニターシステム,レーザーフォトリシス装置の調整に必要なミオグロビンCO錯体を大量に調製した。 2.上記ミオグロビンCO錯体の可逆的光化学反応(COの光解離ー再結合)レーザー光パルスで100%可能となるように、試料セルを各種試作しセルの厚さを0.5〜1.0mm,試料濃度1mM以下と決定した。 3.溶液試料を保持でき、しかもレーザー光(500〜600nm)が良く透過する高分子フィルムを検討し、ラミラー(東レ)を採用した。 4.試料セルをカバーする真空用シュラウドには、X線入射口、螢光X線用窓、レーザービーム入射口,試料モニター用微弱可視光出入り口の計5ケ所の窓が必要であり、その配置や窓材質を最終決定した。 5.ソフト面で電総研大柳宏之主任研究官の助言を得てX線吸収スペクトル測定装置制御用インターフェースを自作した。 6.標準試料であるミオグロビン以外に、ヘモグロビン,西洋ワサビペルオキシダーゼ,緑膿菌チトクロムP450を大量に精製した。ヘム置換法などの化学修飾法を適用した試料も調製した。 以上当該年度の12月までの予定はすべて完了し、結果の一部は学会等で経過報告を行なった。当該年度1月-3月の期間は、申請代表者(飯塚)が理化学研究所に転任したが、本研究を継続して行なっている。既に高感度光学モニターシステムを完成しほぼ調整も終わった段階であるが、これについては理研より別途報告書を提出する。
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