研究課題/領域番号 |
61890010
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
鶴田 禎二 理科大, 工学部, 教授 (90010652)
|
研究分担者 |
宮田 征司 旭化成工業株式会社, ライフサイエンス総合研究所・医療科学研究所, 主席研究員
桜井 靖久 東京女子医科大, 学・医用工学研究施設, 教授 (20010027)
片岡 一則 東京女子医科大, 学・医用工学研究施設, 講師 (00130245)
|
キーワード | 細胞分離 / リンパ球亜集団 / 高分子吸着体 / グラフト共重合体 / ポリアミン / ミクロドメイン構造 / イオン性相互作用 / マクロマー |
研究概要 |
61年度は、ポリアミンミクロドメインを有する高分子材料の合成を推進し、合成ができたものから順次細胞分離実験を高分子の構造との相関に着目しつつ行った。以下にその概要を箇条書きに示す。 1.ミクロドメイン構造を有する高分子の合成とそのキャラクタリゼーション:ジビニルベンゼンと種々のアミンとの付加反応により得られるアミノ基を有するスチレン誘導体を出発物質として、末端官能性のアミンオリゴマーを合成した。これよりマクロマー法を用いて、ポリアミンをセグメントとして有するグラフト共重合体を合成した。さらに、これらの高分子より調製したフィルムをオスミウム酸にて染色し、透過型電子顕微鏡観察を行うことにより、ミクロドメイン構造の形態、大きさ、分布状態を計測した。 2.高分子材料の細胞分離特性の評価と分離細胞の基本的機能の確認:合成されたグラフト共重合体をガラスビーズにコーティングして吸着体とし、カラムに充填してその細胞分離能を評価した。本年度は、ラットより採取したリンパ球を用いて、リンパ球のうちの二大亜集団であるBリンパ球とTリンパ球との分離を中心に実験を推進した。その結果、1)ポリアミンを枝に有し、親水性のポリ(メタクリル酸2-ヒドロキシエチル)を幹とするグラフト共重合体で高純度の分離が達成される、2)分離はポリマー表面とリンパ球表面との間のイオン的相互作用の差に基づく、3)分離能はグラフト鎖長に大きく依存する事などが明らかとなった。 3.実用的な細胞分離用カラムの基本設計の確立:上記2.の成果をふまえ、分離能、迅速性、取り扱い易さなどを総合的に考察した結果、実際の使用状況下で所定の性能を発揮し得るカラムの基本的な設計を完了し、次年度の研究への見通しを得た。
|