研究概要 |
本年度は主としてEXAFS用分光器の仕様について詳細な検討を行い、それに基いて設計,製作を行った。具体的には、不必要な反射の除去を第一義に考え、異子2種の分光結晶を使用した2結晶湾曲分光器とすることとした。ローランド半径は共に320mmに定めた。入射角度範囲は第1分光器が15〜45゜,第2分光器が9〜25゜である。第1分光器にGe(220),Ge(400),Ge(440)等を用い、第2分光器にGe(111),Ge(311)またはGe(333)を用いればこの角度範囲でエネルギーにして4.7〜27keV,波長にして2.7〜0.45【A!゜】の範囲をカバーすることができ、同時に消滅則の違いを利用して不用な次数の反射を除去することができる。 検出器としては入射光測定用に半透過型イオンチェンバーを、透過光測定用に純Ge半導体検出器を使用しているが、透過光測定のためのイオンチェンバーも開発中である。検出したX線は増巾器,VFコンバータを通した後(イオンチェンバーの場合)、あるいは直接(半導体検出器の場合)スケーラーでカウントし、CAMACバスを通してソードM243コンピューターにとりこみ、処理する。 未だ分光器のテストの段階でEXAFSの測定には至っていないがCuのKα、 α2線に対しては分解能4.8eV(Ge(400)使用)、あるいは6.3eV(Ge(220)使用)とEXAFS測定には十分な値が得られている。 ハード面はほぼ完成したので今後EXAFS測定のためのソフトウェアを整備し、次年度にかけて測定システムとして完成させ、触媒をはじめとする非晶体の構造決定に応用していく予定である。
|