研究課題/領域番号 |
61890013
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
安井 湘三 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (50132741)
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研究分担者 |
金子 章道 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (00051491)
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キーワード | 視覚 / 色臨 / 網膜 / 視細胞 / 水平細胞 / シナプス / 光受容 / NaーCa交換 / NaーKポンプ / 膜抵抗 / 膜電位固定 |
研究概要 |
本研究で開発した装置は応用され、錐体から水平細胞へのシナプス伝達に関する従作の定説には補正が必要であることが前年度までに示唆された。即ち、青/緑感受性錐体が放出する伝達物質は膜のイオン透過性を減らす特殊タイプで、赤系統とは別であるらしい。本最終年度では主に、色覚情報処理の初期段階における上記事情を薬理学的に調べた。 1.APB(2-amino-4-phosphonobutyrate)は短波長応答を選択的に増強することが分かった。従って、この薬物は短波長錐体から分泌される伝達物質のアゴニストである可能性が高い。こうして、短波長分担のシナプスはロッド視細胞からON型双極細胞への極性反転シナプスに似た希な種類であるという前年の主張が薬理学的にも支持された。 2.ドーパミンは長波長応答を選択的に増強することが分かった。最近他者によりドーパミンはグルタミン酸の作用を増強することが単離L型細胞で報告された。従って、膜抵抗測定から長波長系統のシナプスは定説通り恐らくグルタミン酸を伝達物質とした通常型の興奮性シナプスであるとした前回の主張が本結果により薬理学的にも強化された。 3.単離培養した水平細胞を使って1ー1の結果から予期されるAPBの効果を膜電位固定下(パッチ電極使用の通常法)で調査中であるが、結果は目下のところはっきりしない。問題点のひとつは、単離するとL型か否かの同定が容易でないことである。 なお、ザリガニ視細胞を対象とした応用実験も前年度に引続き行った。内容は本年度交付申請書に記した実施計画に大体従うものであり、結果はすでに提案した仮説を支持する。即ち、光による膜電位固定下で起こる膜抵抗の再増加はCaゲートの不活性化を反映している公算が高い。
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