研究分担者 |
国元 節子 微化研, 主任研究員 (10161655)
稲葉 実 癌研, 癌化療センター, 主任研究員 (60085636)
小河原 宏 明治薬大, 薬, 教授 (00097198)
桑野 信彦 大分医大, 医, 教授 (80037431)
中村 昭四郎 広島大, 医, 教授 (40013304)
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研究概要 |
多剤耐性獲得に最も重要な役割をはたしている"Pーglycoprotein"の発現をその単クローン抗体を用いて調べたところ, ヒトやマウスなどの各種多剤耐性癌細胞で多く発現していると同時に, ヒト正常組織でも肝・膵・腎・小腸などの分泌管の上皮細胞の表面でも発現がみられ, "Pーglycoprotein"が物質の排出機構に関与する重要な膜蛋白であることが推察された. また, 多剤耐性遺伝子(mdr)をプローブとして"Pーglycoprotein"のmRNAの量を調べたところ, 無治療のヒト大腸癌においても発現が多く, 獲得耐性のみならず自然耐性においても"Pーglycoprotein"の関与が示唆された. 併用によって多剤耐性を克服するものを探索し, レチニールパルミチン酸がビンブラスチンと併用することによりVCR耐性P388白血病細胞の耐性をinvitro,invivoともに克服することを見出した. AHCー52物質の効果は特にすぐれ, VCR耐性P388細胞を腹腔に移植したマウスに1日2回100mg/kgを5日間投与することによりVCR耐性は克服され延命率206%が得られた. さらに, 感受性のP388細胞を移植したマウスに対してVCR単独では201%であるのに対してAHCー物質を併用すると638%以上の値が得られた. 単独で多剤耐性を克服する新抗癌剤として, スパーガリンがADM耐性P388細胞に対してinvitro,invivoともに感受性細胞と同程度に有効であることを見出した. ラクトキノマイシンAはL5178Y細胞の多剤耐性細胞に特に強い殺細胞効果を現わすが, 細胞内で還元されてラジカルを発生することがその作用機構であることを明らかにした. AraーCの作用を増強しAraーC耐性を克服するカデグオマイシンはAraーCのみならず他のシトシン誘導体抗癌剤の効果も増強することを見出した. 癌遺伝子関係では, src癌の形態を正常に戻す活性から見出されたハービマイシンの構造活性相関を調べいっそう強い誘導体を得た. また, srcのチロシンキナーゼ活性を阻害するゲニステインの作用機構を明らかにした.
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