研究分担者 |
渡辺 里仁 国立精神, 神経センター・神経研究所, 室長 (30129746)
竹森 利忠 千葉大学, 医学部, 助教授 (60114295)
甲斐 一成 山口大学, 農学部, 助教授 (60085628)
石本 秋稔 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (50073127)
井川 洋二 理化学研究所, ライフサイエンス筑波研究センター, 主任研究員 (40085618)
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研究概要 |
マウス及びヒトの白血病ウイルスを用いて白血病発症機構を解析した. 1.標的細胞の感受性を支配する遺伝的要因 (1) FriendウイルスSFFVはヘルパーなしで赤芽球をトランスホームする. この場合にFvー2遺伝子の効果が認められた. (2) AbelsonウイルスをC57BL/6マウスの胎児胸腺の培養に感染させTリンホーマを作ることに成功した. BALB/CではBリンホーマができた. 2.発症に関与するウイルス遺伝子 (1) SFFVのgp55遺伝子に関する再構成ウイルスのうち,6+1塩基対を除いたものは発病力が低下しており,糖蛋白が細胞外に出ない. 発病力が部分的に復帰したウイルスには一塩基挿入があり糖蛋白が外へでる. 病原性と糖蛋白の細胞外への遊離放出が関係するのかも知れない. 一方,585bpの欠損部位を修復させたウイルスは病原性を示さないが,病原性の復帰したものはgp55の大きさがまちまちであった. (2) MoloneyウイルスのLTRのなかに組込まれたHTLVー1のエンハンサーがマウスの系で動くことがわかった. 3.細胞ゲノムへのウイルスゲノムの組込み HTLVー1感染HL60細胞にIUDR,DMSO処理をすると核外ウイルスゲノムが5倍程度に増加した. この現象はウイルスゲノムの細胞ゲノムへの組込みの増加につながると考えられる 4.発癌遺伝子の活性化と分化 Abelsonウイルスのts変異株でトランスフォームしたB細胞の培養温度をあげるとIg(-)から(+)の細胞に分化する. この時p120チロシンキナーゼ活性の低下と基質燐酸化の低下がおこる. 温度をさげると可逆的な変化がおこった.
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