研究分担者 |
武市 紀年 北海道大学, 医学部, 助教授 (40002133)
水野 左敏 国立予防衛生研究所, 抗生物質部, 部長 (60072930)
斉藤 政樹 自治医科大学, 医学部, 教授 (60012762)
須田 立雄 昭和大学, 歯学部, 教授 (90014034)
高久 史麿 東京大学, 医学部, 教授 (40048955)
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研究概要 |
臨床応用可能な新しい分化誘導療法剤とその補強物質の開発を目的として諸種物質を検索し, 諸種分化誘導療法剤の作用機序を検討して次の研究成果を得た. 1.新しい分化誘導療法剤の開発:新規合成核酸関連化合物(穂積),ビタミンD_3誘導体(須田),シアロ糖化合物(斉藤)がヒト前骨髓球性白血病細胞に対して強い分化誘導効果と増殖抑制効果を示すことを見出した. 2.分化誘導療法の補強物質の開発:諸種サイトカイン,ビタミン,デキサメサゾンなどが骨髓性白血病細胞に対する蛋白質性分化誘導因子(D因子)やインターフエロンγなどの分化誘導効果を著しく促進することを見出した(武田,穂積). また, 増殖性のある単球性白血病細胞に対する選択的な増殖抑制因子を見出し, 純化した(穂積). 3.分化誘導療法剤の作用機序の解析:1)顆粒球コロニー形成促進因子(GーCSF)は骨髓異形成症候群(MDS)および慢性骨髓性白血病(CML)患者末梢血好中球機能を改善することを明らかにした(高久). 2)ビタミンD_3の骨髓性白血病細胞における代謝過程を調べ, 新代謝産物を同定した(須田). 3)ハービマイシンがヒト大腸癌細胞およびマウス線維芽細胞のトランスフォーマントのチロシンキナーゼ活性を抑制し, 分化形質を誘導することを明らかにした(水野). 4)分化誘導耐性のラット骨髓性白病細胞では細胞表面の抗原量が異常に増加し, 宿主の免疫反応によりin vivoの増殖が抑制されることを明らかにした. 前述の新しい分化誘導剤および分化誘導補強物質の臨床応用への可能性と諸条件を詳細に検討することが今後の研究課題である.
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