研究概要 |
1.がん遺伝子および関連遺伝子の染色体マッピング ヒトゲノミックDNAより,vーros遺伝子をプローブとしてcーrsー1およびfltを分離した. これらの遺伝子をin sityハイブリダイゼーションによりヒト6q22および13q12へそれぞれマッピングした. 同様に,ヒトDNAより,分離したmyb関連遺伝子であるnit,bーmybを第8および第13染色体上へ,Ski関連遺伝子であるskyを第3染色体上へ位置づけした. また,癌細胞由来トランスフォーミング遺伝子として分離された胃癌由来hstー1および肝癌由来lcaをそれぞれ11q13.3,2q14へマッピングした. hstー1は胃癌由来の組織,偏平上皮癌由来培養細胞で増巾がみられ,さらに11q13上に存在するintー1がん遺伝子もこれらの組織・細胞で増巾しているのが観察された. すなわち2種類の遺伝子の共増巾がみられたのである. また,増殖因子に関連する遺伝子としてインターロイキン5(ILー5)および顆粒球増殖因子遺伝子CSF3をそれぞれ5q23→q31,17q21→q22へ位置づけした. また,Tリンパ性白血病細胞から,T細胞レセプター遺伝子が再編成を起こし,DーJ結合の際に外れた遺伝子DNA断片をクローニングした. この遺伝子は第6染色体上に位置していることが分った. すなわち,DーJ結合の際に切り出されたDNA断片がもう一度ゲノムの中に挿入されるという新事実を思い出した. 2.変異型Ph^1染色体転座の生成機構をcーabl,Cーsisおよびbcr遺伝子の各プローグを用いin sityハイブリダイゼーションにより解析し,従来第9染色体を含まないと考えられていた変異Ph^1は全てこの染色体を含む異常であること,それはt(9;22)より二次的に汎生したものであること,さらに,Ph^1転座は9q34/22q11の再構成が必須であることなどが分った. 3.MDSのdel(20)染色体異常は従来末端欠失と考えられていたがcーsrc座位を含む中間欠失である事を明らかにした.
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