研究概要 |
1.合計20種のヒトAIDSウイルス(HIV)とサルAIDSウイルス(SIV)において, 末端反複配列(LTR)の塩基配列を比較して分子系統樹を作成した結果, これらのウイルスが「HIVー1グループ」と「HIVー2グループ」に大きく分かれることがわかった. 特に, アカゲザルのSIVーMACと西アフリカのHIVー2は, HIVー2グループのなかでも非常に短かい分岐時間を有することが明らかになった. 2.HIVのレトロウイルス科における進化的位置を採るため,次のことを行なった. 一般に, レトロウイルス科は, オンコウイルス, レンチウイルス, スプマウイルスの3つの亜科に分類される. それぞれの亜科から,代表的ウイルス18種を選んでpal領域のエンドヌクレアーゼ部分のアミノ酸配列を比較して分子系統樹を作成した. その結果, レンチウイルス亜科のレトロウイルス科内での進化的位置が明らかになったと同時に, HIVがレンチウイルス亜科に属することが確認された. 3.HTLVー1関連ウイルスの分子系統学的関係を調べるために, HTLVーI,HTLVーI6,HTLVーII,ブタオザルの白血病のウイルスPTーSTLV,BLVーJap,そしてBLVーBelのpx領域の塩基配列を比較して,分子系統樹を作成した. その結果,BLVと(HTLVーI/II,PTーSTLV)がまず分岐して, 後にHTLV-IIと(HTLV-I,PTーSTLV)が分岐したことがわかった.
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