研究分担者 |
P T May 京都大学, 超高層電波研究センター, 日本学術振興会招
W K Hocking アデレイド大学, 物理, 講師
R.A Vincent アデレイド大学, 物理, 教授
山本 衛 京都大学, 超高層電波研究センター, 教務補佐員 (20210560)
佐藤 亨 京都大学, 超高層電波研究センター, 助手 (60162450)
津田 敏隆 京都大学, 超高層電波研究センター, 助教授 (30115886)
深尾 昌一郎 京都大学, 超高層電波研究センター, 助教授 (30026249)
|
研究概要 |
1982ー85年に実施された中層大気国際共同観測計画(MAP)によって南北半球の中層大気の構造や季節変化に大きな相違があることが分かった. 本研究では, 赤道に対してほぼ共役点に位置する京都大学信楽MU観測所(35'N,135'E)のMUレーダー及び流星レーダーとオーストラリア国アデレイド大学(35'S,138'E)の分反射レーダーとSTレーダーを用いて共同観測を実施し, 南北半球の中層大気の振舞いを明らかにすると共に各種のレーダー技術を比較検討することを主たる目的とする. 昭和62年5月15日〜7月22日の期間中, 以下の内容について調査研究を行った. 1)加藤, 深尾及び津田がアデレイド大学のR.A.Vincent博士と平均風, 長周期波動, 大気潮汐波について, アデレイド大学分反射レーダーと京都大学流星レーダーの観測データを比較し, 南北半球間の相違について研究を行った. この比較研究の成果は, Adv.Space Res.誌, J.Geophys.Res.誌及びJ.Atmos.Teer.Phys.誌に発表された. また, 加藤, 深尾はクイーンズランド大学のホワイトヘッド教授と電離圏ー中間圏の力学的結合について議論を行った. 2)内部重力波の南北半球間の相違を明らかにするために, アデレイド大学分反射レーダーとMUレーダーの協同観測を行った. 分反射レーダーでは6月5〜14日と6月22〜30日の期間に本共同研究のための特別観測を行った. さらに6月中の他の期間に行われた全ての定常観測データの提供を受けた. MUレーダーでは, 6月6〜29日の期間の中間圏の長期連続観測を行った. 現在までに, 分反射レーダーにおける斜めビームの実行天頂角が5〜8'であることや, 大気潮汐波を考慮した解析によっても慣性重力波が検出されることが明らかとなった. 協同観測の概要と結果の速報は信州大学教養部で行なわれた地球電磁気・地球惑星圏学会及び, 文部省宇宙科学研究所で行なわれた大気圏シンポジウムで発表された. 3)佐藤, 山本がP.T.May博士, W.K.Hocking博士と共に, アデレイド大学分反射レーダー, STレーダーのシステム構成及びこれらのレーダーで用いられているアンテナ空間分離法(SAD法)に関して調査を行った. また, MSTレーダー観測において, 散乱層が薄い場合に風速の推定値に誤差が見込まれるが, これについての研究結果がP.T.May博士他によってRadio Sci.誌に発表された.
|