研究分担者 |
DAVID GIBBON マレーシア科学大学, 政策研究センター, 教授
KAMPHOL ADVL カセサート大学, 経済経営管理学部, 準教授
三簾 久夫 東京農業大学, 農学部, 助手 (30147483)
藤本 彰三 東京農業大学, 総合研究所, 講師 (80147488)
増田 萬孝 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (70011947)
樋口 貞三 筑波大学, 農林学系, 教授 (50003752)
金沢 夏樹 日本大学, 農獣医学部, 教授 (90011783)
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研究概要 |
本調査研究は,圃場および個別農家の多様な条件を踏まえて,稲作生産力構造と農村社会に対する技術変化の影響を解明し, ミクロ経済学の立場から新しい農業開発理論の体系化を目標するものである. とくに,マレー半島(マレーシアおよび南タイのイスラム圏)の主要稲作地帯で,個別農家調査を実施し,新して稲作技術体系の普及,定着,および成果に関する諸問題を解明し,一定の社会経済条件下における農民の主体的対応の論理を探ることを目的とする. 本研究は3カ年計画(昭和62ー64年度)で実施しており, 本年度はマレー半島の主要稲作地帯において個別農家の技術と経営に関する調査を行った. 調査地はマレーシアで2カ所,タイで1カ所であるが,調査集落は合計5つである. マレーシアでは,スブラン・プライのゴア・トッ・サイド村(66戸の〓皆調査)およびセランゴール州タンジョン・カラン地域のパリット4集落(70戸の〓皆調査)とスキンチャン1集落(30戸)を対象とした. タイでは,サタン県クアンサタウ村で集落6(98戸の〓皆調査)と集落7(44戸)を調査した. マレーシアのゴア・トッ・サイド村は, メンバーの1人(藤本彰三)が1978年に〓皆調査を実施した村であり, 今回の調査で10年間の変化に関する詳細なデータを収集した. 当村では,労働節約的扱術革新(直播栽培とコンバイン)および補助金制度の結果,稲作収益性が高まり, 規模拡大によって自立経営の確立を図る農家群が出現してきた. 一方, タンジョン・カラン地域はマレーシアで最も生産性が高い. 今回は, マレー人集落と華人集落の両方の調査を通して, 当地域の高生産性は華人農民の高生産性によることをつきとめた. タイの調査農民は全てイスラム教徒である. 調査材は, 主要水稲二期作地帯に位置するが天然ゴムとの混合経済を特徴とする. 稲作生産力水準は未だ低く, 扱術と経営に問題が多い. 1985年海外学術調査で行った南タイの仏教徒農村の調査結果と比較すると興味深い知見が得られよう. 昭和63年度には, フィリピンにおいて同様な農家調査を行う計画である. マレー半島とフィリピン調査結果の総括は64年度に行う. また, 65年以降, 東南アジア4ケ国での今までの研究成果の総まとめを行う計画である.
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