研究分担者 |
西本 真一 早稲田大学, 理工学部, 助手 (10198517)
安松 孝 早稲田大学, 理工学部, 助手
近藤 二郎 早稲田大学, 文学部, 助手 (70186849)
関 和明 関東学院大学, 工学部, 助教授
中川 武 早稲田大学, 理工学部, 教授 (30063770)
吉村 作治 早稲田大学, 人間科学部, 助教授 (80201052)
後藤 久 日本女子大学, 家政学部, 教授 (70060655)
稲垣 栄三 明治大学, 工学部, 教授 (70010668)
飯田 喜四郎 名古屋大学, 工学部, 教授 (80022987)
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研究概要 |
本調査研究の目的は, 早稲田大学古代エジプト調査隊によって遂行されてきたマルカタ南・魚の丘建築の復原研究を完成させることにあり, 研究方法として魚の丘建築と年代的・場所的・性格的にも極めて関連の深いアメンヘテプIII世(新王国時代・第18王朝)建造のマルカタ王宮を対象として建築学的・美術考古学的な比較研究を通じ, 行うものである. 第二次調査は当初計画した研究項目・調査事項について予定通り行われ, 予期以上の成果をあげることができた. 1)前回調査に引き続きメトロポリタン美術館調査隊による既往実測資料と, 今回のマルカタ王宮実測によって作成した図面との比較・現況確認をさらに範囲を広めて行った. 2)王宮の最も重要な部屋である王の寝室を発掘し, 夥しい量の彩画片を得た. 出土した彩画片は写真撮影や模写によって資料化した. 出土状況からこの部屋が他の調査隊によってほとんど発掘がされていない点も確認された. 3)王の寝室より出た彩画片から, 天井面に描かれたと思われる上下エジプト王名, 及びサァ・ラー名を復原し, それらがアメンヘテプIII世の名であることを確認した. 上下エジプト王名は3種類記されていたことが明らかにされた. 4)天井面に描かれていたハゲワシの姿のネクベト画像を原寸で復原した. この復原図をもとに天井全体の復原図も縮尺1/5で作成した. 5)王の寝室に見られるような特徴的な平面形状の部屋に関し類例の実測, 及び比例関係の分析を行った. 6)マルカタ王宮と魚の丘建築, 及び両者を結ぶ間の周辺に位置する各々の関連遺跡について方位を計測し, 配置計画に関する基礎資料作成と都市計画的な視点における分析研究を行った. 今回の調査で得た知見によって研究主題はさらに多岐に渡ることが確認された. 古代エジプトにおける日乾煉瓦造王宮建築の遺構は石造建築と異なりその数は限られ, 今回発掘を行った王の寝室の建築的特質や都市計画的な配置計画に関する研究成果を国際的な学会に対し提示することにより, 古代エジプト文化研究に少なからぬ寄与を成しうるものと思われる.
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