研究分担者 |
ROBERT R.You Harvard Medical School, Prof.
中島 祥夫 千葉大学, 医学部, 助教授 (60092079)
岡本 良夫 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (20152358)
武者 利光 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (70016319)
YOUNG Robert R. Harvard Medical School, Prof.
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研究概要 |
脳内に発生した電位を一つの双極子と推定し,その双極子の存在箇所とベクトルモーメントを求めるいわゆる双極子追跡法が完成したのでヤング教授のPETを中心とした脳内活動箇所研究法による成果と照合したい. テンカン発作電位などの異常脳波や末梢神経刺激による脳誘発電位の脳内誘発電位発生源を検査することにより,その所見は臨床診断に用いられる. 脳内に発生した電位を,一つの双極子電流と推定し,この等価双極子の脳内個所とベクトルモメントを求めることができる双極子追跡法,DT法を完成した. この装置をマサチューセッツ総合病院の臨床神経生理学教室に持参し,6名の患者および正常人被験者につき以下の研究を行った. 1.異常脳波の発生源 脳出血後,過呼吸により増強される高振幅の徐波の等価双極子の脳内位置を求めた. CT,MRIにより出血部位が左前連合野にみられ,PETにより同部位および頭頂に向い,脳血流の不全が観察された. 本測定による等価双極子は,出血部口隣接し,血流不全個所より前頭に位置した. 上記解剖学的および代謝異常を推定する生化学的検査ではみられない異常脳電位の発生個所を生理学的に測定できた. 障害脳個所に隣接して代償的に脳活動が高まっていることを示しているが,それが臨床症状と如何に関係しているか今後の詳細な検査結果との照合により当方と先方との討義により検討して行きたい. 出血による障害部位との神経性の連絡を失った隣接の脳部位が異常脳波を発生するという脳活動のいわゆる増強をどう説明するか,当方に求められている研究課題である. 2.視覚誘発電位の双極子追跡 黒白モザイク画面いわゆるチェッカーボードによる視覚刺激による誘発される後頭部脳電位を記録し,その等価双極子の位置とベクトルモメントを求めた. 被験者は画面中央を注視している. 画面は左右に分けられ,チェッカー刺激が左半分から右半分へ,次いで全画面と進行し,この刺激を128回くりかえし,脳電位を加算平均する. まだ検査結果がすべての被験者について求められていないが, 実験の合間で計算し終えた結果によると,視覚経路と視覚野の関係がヒトについても従来の知見が確認されたとみることができよう. その他体性感覚誘発電位記録と二重刺激の実験を行ってきた.
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