研究概要 |
今後より一層の発展が期待される電子工学・光電子工学に関して, 基礎研究に優れた実績を持つ米国の第一線の研究者と直接会って議論することにより, この分野における問題点と今後の有望な研究課題を明確にする. IIIーV化合物半導体材料では, 多くの可能性を秘めた新しい結晶成長技術であるガスソースMBE(MOMBE,又は, CBE)の研究が盛んになりつつある. この方法による光半導体素子用材料のInGaAsP,InPの成長にはほとんど問題がないが, 高速素子や光素子に広く用いられているGaAsーAlGaAs系では問題がある. 特にAsGaAs中のC不純物の低減が難しいようである. しかし, 高価格にもかかわらず, ガスソースMBE装置を導入しようとしている大学・研究所が多く, ここ2〜3年にうちに多くの研究成果が得られるものと予想される. 光デバイスに関しては, 超広帯域・長矩離光ファイバ通信システムを実現することを目的とした, 発光・受光素子の10GHzを超える広帯域化, 半導体レーザの狭スペクトル線幅化, 及び, 高速光変調器の開発がこの分野の主な研究テーマになっていた. そのため一つの有効な手法として, 量子井戸構造の検討が進められている. 光デバイス作製手段として, ガスソースMBEやMPCVDなどの結晶成長技術やイオンビームエッチング法等の微細加工技術の研究が活発である. 光コンピュータ・アーキテクチャについては, アレイ状に配列した論理ゲート素子(単一機能のものから多機能のものまで)と光の自由空間伝播によって接続する並列アーキテクチャが研究の主流である. また, 新しいアーキテクチャとして, 神経回路網を模倣した光ニューラル・コンピュータの研究も活発である. この場合, 各論理ゲート素子間の接続パターンはスペース・バリアントになるが, その目的には体積ホログラムが有望視されている. 光通信・光計測に関しては, 光子計数型光通信が, コヒーレント光通信とならび重要な次世代光通信技術となるとの確信が得られた.
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