研究分担者 |
小平 桂一 東京大学, 東京天文台, 教授 (60012845)
前原 英夫 東京大学, 東京天文台, 助教授 (60012879)
山崎 篤磨 東京大学, 教養学部, 助手 (90012434)
野口 邦男 名古屋大学, 理学部, 助手 (10111824)
舞原 俊憲 京都大学, 理学部, 助教授 (90025445)
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研究概要 |
昭和61年度ハワイ大学のマウナケア天文台において海外学術研究を実施した. それぞれの研究班はマウナケア天文台のハワイ大学2.2m望遠鏡, 0.6m望遠鏡, NASAのIRTF望遠鏡, 英国のUKIRT望遠鏡などの観測時間を, 諸外国の研究班に伍して個々に申請して供与された. 研究班の自前で開発した装置を運搬して, 望遠鏡に装着, 調整して, 観測データを取得した班もある. 昭和62年度には各班は取得した観測データを処理, 整約, 解析した. 以下に各研究班の成果を要約する. 1. 密小銀河群の研究においては5個の密小銀河群の構成銀河の赤方偏移の予備的結果が得られた. 密小銀河群CGCG202(z=0.027)の中で暗い銀河No.13は, 背後(z=0.1)にあり, 凋密な銀河と見られる銀河は総て直径ー面輝度図(DSBD)上で飽和枝上に並ぶことが伴った. (小平ほか) 2. 星生成活動の盛んな銀河の研究においては木曽観測所で検出した紫外超過銀河KUGの分光観測をして, 凋密なKUGにも大規模な星生成活動があることを見出した. (前原ほか) 3. 白色矮星の連星における活動の研究においては, 相互作用している近接連星BLEriの測光観測をして, 光度曲線を得た. 光度曲線の解析から, 二星は非常に接近しているが接触していないことがわかった. 両星の質量, 半径を求めて, 連星の進化の重要な過渡期にあることが伴った. (山崎ほか) 4. 重力収縮して恒星が誕生する前段階と言われるボックグロビュールB6の方向の8星について狭帯域測光が行われた. そして半径1pc, 質量は太陽の20倍を求めた. 1km/sec以上の乱流または15μG以上の磁場がなければ, 重力収縮して恒星になる可能性が認められた. (関ほか) 5. 横向き渦巻き銀河NGC7814の周囲の球状星団の分布を観測して力学的状態を調べようという研究は, 天候に恵まれず十分な観測資料を得ることができなかった. (山県ほか) 6. 星周塵の赤外未同ばかりの高分解能分光器によって, 水素の輝線が3.297μmを中心に5本, 未同定輝線帯は極大が3.295μm, 3.39ー3.40μmに小さなこぶのあるものもある. これらの未同定輝線帯は実験室で得られた炭素質の物質であると推定して構造の決定を進めている. (坂田ほか) 7. 赤外線分光観測のための分光器と検出器について検討を進めた. (野口ほか) 8. 京大で開発した近赤外線分光器は8素子のInSbアレイ検出器を用いて, グレーチングを交換してKバンド分光とLバンド分光を行う. (舞原ほか) 9. オリオン座の散光星雲NGC2024を2.17μm(Brγ)で強度分布図を作って励起星を捜した. IRAS2の南30″にBrγの強い領域を発見した. 星間吸収A.ナ_<v.ニ>=25等の下に励起星が隠れている可能性がある. (舞原ほか) 10. おうし座暗黒星雲領域で検出された近赤外天体の中から小質量の主系列に達する前の星を探索した. KHー1, KHー4, KHー11には2.3μmから長波長側にCOの吸収帯(らしい)スペクトルが見付かった. KHー9には逆にCOの輝線帯(らしい)スペクトルが観測された. (舞原ほか) 11. 相互作用している銀河NGC3690ーIC694に2.43μmの水素分子(Qーブランチ)輝線と2.17μmの水素Brγ輝線を7.2″の分解能で観測した. 水素分子輝線は銀河の中心から放射されている. 星生成領域に見られるような小規模の衝撃波による励起か, 大規模な銀河衝撃波による励起か検討中である. (舞原ほか)
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