研究分担者 |
EVAN C.Leitc シドニー大学, SENIOR LEC
石賀 裕明 島根大学, 理学部, 助手 (80183002)
渡辺 暉夫 北海道大学, 理学部, 助教授 (40135900)
飯泉 滋 島根大学, 理学部, 教授 (80032639)
本間 弘次 岡山大学, 地球内部研究センター, 教授 (70033131)
EITCH Evan C. University of Sydney Senior Lect.
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研究概要 |
研究成果は大別して, 微化石(放散虫)による生層序学的成果,変成岩,弱変成オフィオライトの岩石学的・鉱物学的成果,花崗岩類の岩石化学(同位体研究をふくむ)的研究の三つに大別できる. 以下に順を追って成果を紹介する. 放散虫化石の研究では, まず化石未発見のため岩相対比のみで年代論を展開していた地層に対して具体的に年代を与えることに成功した. 石炭紀の化石が見つけられているため全て石炭紀であると考え塗色されていたHastings Blockから上部デボン紀を示すPaleosceniclium cladephorumなどを見出した. また,新属・新種を発見し,Paleorubus hastingenesis Ishigaと命名された. 変成岩類の研究からは, Macdonald Block南部の変成岩はナトリウム輝石(エヂリン・オージャイト)を含む高圧中間群の変成岩であることが明らかとなった. さらに, 従来, 変成作用について記載のなかったWoolomin帯の岩石もエヂリン・オージャイトなどを含む高圧中間群の変成岩に連続する可能性のある変成岩であることが明らかになった. さらにMacdonald Blockの変成岩のKーAr年代はEXCESS Arの検討などの問題を残しているものの, 310ー380Maという年代であることが明らかにされた. つまりデボン紀から石炭紀後期という堆積年代に一部重なり, しかもやや遅い年代まで続くという結果が得られた. 変成作用によってロードナイトなどのマンガン鉱物が作成されている. 新しく修正された290Maの石炭紀末のS型花崗岩の〓入年代をも考え合せると, 大蛇紋岩帯周辺の変動の時代は, これまで予想されていた古生代中期ではなく, 古生代後半の石炭紀末であることが明らかになった. これはオーストラリア古生代の形成史に根本的な変更を行なった(これを石炭紀後期変動とする). 以上の研究により,これまでオーストラリア研究者によって考えられていたニューイングランド褶曲帯の形成史に根本的な変更を行なうことに成功したばかりでなく,花崗岩タイボロジーの世界のタイプであるこの地域の花崗岩の研究にも新たな問題を提起することとなった.
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