研究課題/領域番号 |
62045005
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
菅野 正 宮城教育大学, 学長 (30006374)
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研究分担者 |
高橋 孝助 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (80091776)
小野 四平 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (20006399)
小松 教之 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (40027694)
横須賀 薫 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (60006442)
江馬 成也 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (40006424)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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キーワード | 近代化 / 現代化 / 初等・中等教育 / 教師 / 教員養成 / 比較教育 |
研究概要 |
1.研究目的 本研究は科学技術の発展、情報化と国際化の進展など、現代社会からの要求に対する日本と中国の初等・中等学校教員養成の対応について、宮城教育大学と中国東北師範大学との共同による比較研究を行い、両国における対応の実際とその特質を明らかにするとともに、両国の教員養成の改善に資することを目的として行われた。 2.実施概要 共同研究は各年度において、相互に約10日間現地を訪問し、(1)現地における学校視察、(2)共同研究者との討議、(3)文献資料の所蔵確認及び資料収集を行い、その後両者において(4)研究成果の発表を行うという方法で実施された。そして、この共同研究を通して、姉妹校としての相互理解が深められた。 3.研究成果の概要 (1)中国における初等・中等教育の現状 中国においては、学校教育が1970年代の末から、文革の影響を脱して、めざましい進歩を遂げていたことは既に多くの文献によって知られていた。今回の共同研究による現地視察においても、このことは直接確かめることが出来た。 今回の共同研究による新しい知見としては、このような進歩が単に制度的整備、校舎等の物質的整備、教員配置等の人的整備にとどまらず、教育内容・方法というソフト面においても行われていることが確認された。例えば、国語教育において80年代に多数の国語教育方法論が提案され、多数の国語教育教材が編集されたことを調査することが出来た。80年代末には全国各地から専門家が集まり「国語教育発展戦略検討会」が開催され、このような方法論、教材編集方針が討議され、新しい方向を生み出す努力がなされているのである。このような動向はもちろん国語科のみならず、すべての教科において行われている。 一方、全般的にみると初等・中等教育において農村と都市との格差、一般校とエリート校との格差は依然として大きなものがあることも、現地視察において確認されたところである。 (2)中国における教員養成の現状 この面はこれまで我国において十分に知られていなかったが、この共同研究によって、中国における教員養成(小・中学校教員)の歴史、制度的整備、量的発展、質的向上などについて詳細に把握することが出来たことは最も大きな成果である。 ここには質的向上の側面について略記しておく。 中国の国家教育委員会は1987年より「中小学における教師がテストに合格した場合の証書交付に関する試行方法」を公布している。これにより毎年、「教科教育法試験合格証書」と「専門科目合格証書」がテスト合格者に交付され、教師の学歴レベルが向上している。1987年、全国の小学校教師543万人の中で365.4万人が中等師範あるいは高級中学校卒業以上のレベルとなっていて、学歴到達率は65%でこれは1987年段階の47%と比べると大きく発展している。 さらに、現職小・中学校の教師の現職教育を推進するために、省に教育学院、地区に教育学院、県に教師研修学校を設置して、その充実をはかっている。 次に、教員養成の理論研究も、1978年以後推進され、中央教育研究所と同時に各地の師範学院・校に教育科学研究所を設けて、教員養成の研究が進められている。そして、全国誌としての『師範教育』が編集、刊行され、理論と実践の交流が行われている。 (3)教員養成の日中比較研究 この面はなお今後の研究課題であるが、日中間において、「教師」「教員」「師範教育」「教員養成」「教師教育」「現職教育」「進修」等の諸概念の比較研究を行うことが大切であることが相互に確認された。
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