研究概要 |
インドネシア国ジャワ島で飼育されている牛の無機物栄養状態, 給与飼料中の無機物含量を調査する. これらの研究, 調査から無機物給与の過不足により障害となっている牛の成長, 繁殖, 病気の予防, 治療の改善, 向上を計る. 本研究はまたジャワ島だけでなく稲作を主とする熱帯アジアの牛の無機物栄養研究のモデルデータになるとともにインドネシアと日本の畜産研究者の研究交流促進を計ることも目的の1つとしている. 1987年7月26日から8月4日 インドネシア国ボゴール農科大学において学長(Dr.Sctonala Arsjad)以下副学長, 大学院長に本調査, 研究の目的, 意義について説明をし了承を得た. また同大学畜産学部長(Dr.Lily Amalia)以下畜産学科の主要なスタッフに本調査, 研究の具体的な方法について説明し協力を依頼した. インドネシアの畜産についての資料をボゴール農科大学とFAOのバンコクオフィスで収集した. 1988年1月12日から2月10日 ジャワ島東部地域の丘陵部の町マラン(malang)と平野部の町モジョクルト(majokerto)のと殺場において, 牛50頭より血液, 肝臓, 骨のサンプルを採取した. またと殺前に牛の品種, 年齢, 飼育地域を調査するとともに, マランとモジョクルト近郊の農村部より飼料サンプルを採取し, 牛の飼育方法について聞き取り調査を行った. ジャワ島西部地域に位置するボゴール農科大学附属牧場において牛20頭から血液を採取し飼料サンプルも得た. これらのサンプル採取にはボゴール農科大学のスタッフが2名以上同行した. 得られた血液臓器サンプルはドライアイスで凍結して, 京都大学農学部まで搬入した. 2月10日に分析用サンプルを持ち帰り, 分析は始まったばかりであるが, Cu栄養の指標になる血液中セルロプラスミン濃度はボゴール農科大学附属牧場で飼育されている牛では極めて低く銅(Cu)欠乏の可能性のあることが示唆された. またセレン(Se)栄養の指標となるグルタチオンパーオキシダーゼは, 3ヶ所の調査地点で差がみられた. しかし3地点において得られたグルタチオンパーオキシダーゼ活性は日本の牛と比較すると, すベて4倍以上の高値を示した. 今後は半年間で全採取サンプルの分析を行うとともに, 昭和63年8月からは乾期における牛の血液, 臓器サンプルと飼料を採取する予定である.
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