研究分担者 |
張 景祥 佳木斯医学院, 医学系, 講師
楊 殿生 佳木斯医学院, 医学系, 講師
張 桂芳 佳木斯医学院, 医学系, 副教授
椛 秀人 高知医科大学, 医学部, 助手 (50136371)
斉藤 英郎 高知医科大学, 医学部, 助教授
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研究概要 |
本研究においては針刺激およびその他の中国医学的方法についてその作用機構を神経生理学的および代謝生理学的な立場から基礎的に解明することを目的としている. 特にストレス時の針刺激の作用における役割を明確にすることによって実際的な臨床応用について何らかの貢献ができることをも目的としている. 現在はストレス時代といわれているが, 針治療および気功療法などの中国医学的手技は一般的にストレスに対する予防効果があるともいわれている. しかしながら, その作用機講についてはあまり明確にされていないので, 本年度は針治療及び気功療法の作用機構について動物を用いて種々の実験を行った. 特にウサギを用いて種々のストレス負荷時において足の三里に針刺激を行った場合の焦性ブドウ酸の代謝像ならびにその場合における視床下部の役割等について検索を行い次のような結果を得ている. 1.ウサギの非ストレス時での足三里の針刺激は肝における焦性ブドウ酸の代謝に対して影響を与えないが, 視床下部の復内側核あるいは弓状核の破壊によって焦性ブドウ酸の代謝に対する針刺激の作用が出現する. 2.情動ストレスである緊縛負荷ならびに体性ストレスである寒冷曝露あるいは暑熱曝露などの種々のストレス負荷は肝における焦性ブドウ酸の代謝に著しい影響を与えるが, これらのストレス負荷時における足三里の針刺激はこれらの3種類のストレス負荷の影響を消失させる方向に作用している. 3.緊縛負荷および寒冷曝露あるいは暑熱曝露等のストレス負荷時における焦性ブドウ酸の代謝に対する足三里の針刺激の作用は視床下部の復内側核あるいは弓状核の破壊によって変化する. 4.以上の事実より足三里の針刺激は肝の代謝に対するストレスの影響を減少させる方向に作用しておりしかもこのストレス負荷時の作用にはもちろんのこと, 非ストレス時の針刺激の作用にも視床下部が関与しているものと考えられるので, 今後さらに針治療の脳機構について広範に検索する.
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