研究課題
国際学術研究
1.日米二国における耐震研究の実状調査。(1)初年度調査項目:両国の耐震設計基準および動的構造実験法の現状。米国における耐震規定の運用および地震観測点の配置状況。訪問先:国内機関 日本大学。海外機関 ワシントン大学ほか5校、ABAMコンサルティングほか10社。(2)二年度調査項目:日本大学ほか一、二の日本の大学における材料力学・構造力学の研究状況、米国におけるRC構造の動的解析法とモデル化に関する研究状況。訪問先:国内機関 日本大学ほか2校、電力中央研究所。海外機関 MITほか5校、材料試験サービスほか5社。(3)最終年度調査項目:米国における免震・制振技術の開発状況およびその施工例。三年間の調査内容の整理と取りまとめ。訪問先:国内機関 日本大学。海外機関 米国立のNCEERほか1機関、ニューヨーク州立大学ほか2校、BECHTELほか4社。2.RC橋脚の模型実験にもとずく日米両国耐震設計基準の比較。日本に実在するRC橋脚を原型とし、両国の耐震規定により算定される地震力と死荷重を設計荷重として、それぞれの設計基準にもとずいて、同一寸法・二種類のRC橋脚縮尺モデルを作製し、実験的に両者の耐荷力(靱性)の比較を行った。実験は凝似動的実験法によった。ここでの調査の結果、つぎの各項を明らかにすることができた。(1)両国耐震設計基準の類似点、相違点。(2)二種類の橋脚モデルにおける靱性の違い。3.日米二国の地震応答スペクトルの特性。両国の代表的地震である宮城県沖地震、インペリアル・バレイ地震ほか二、三の地震波の記録から、地震応答スペクトルを比較し、特徴的な違いを検討した。ただし応答スペクトルは、免震装置を含むRC構造物の地震応答を考慮してバイリニア非線形ばね・粘性減衰をもつ1質点系によって求められている。4.非線形解析のためのコンクリート材料構成則の検討と擬似動的実験法の検討。(1)コンクリート材料のモデル化と弾塑性RC部材の動的解析法。エンドクロニック理論にもとずく材料構成則と繊維解析法により、繰り返し荷重を受けるRC部材の弾塑性挙動を解くことのできる効率的かつ合理的な数値解法を提案。本解法による解と凝似動的実験法による実験結果とを比較し、両者の近似の良好なことを確認した。(2)変動軸力をうけるRC柱の弾塑性応答特性。地震時高層建築物の柱部材は大きく変動する軸力をうける。その際のRC柱の弾塑性挙動を実験的に求め、既往の研究に類似の破壊モードを得た。また、(1)の数値解法によって実験結果に類似の解の得られることを確認した。(3)動的実験法における相似則。振動台による加振実験と凝似動的実験とでは通常使われる模型の大きさにかなりの相違がある。二つの実験法による弾塑性実験の結果を比較し、非線形動的実験においても相似性の成立ち得ることを示した。(4)動的実験における載荷速度の影響。材料の弾塑性領域を含む動的挙動は載荷速度の影響をうける。RC柱に対する振動台加振実験と静的実験の結果を比較し、主鉄筋降伏強度のひずみ速度依存性を明らかにした。また柱のせん断耐力もひずみ速度に依存することを明らかにした。
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