研究分担者 |
J フンベク 関西大学, 工学部・金属工学科, 講師
E アーノト 関西大学, 工学部・金属工学科, 教授
L デラエイ 関西大学, 工学部・金属工学科, 教授
杉本 隆史 関西大学, 工学部・金属工学科, 講師 (90067736)
中村 康彦 関西大学, 工学部・金属工学科, 講師
赤松 勝也 関西大学, 工学部・金属工学科, 教授 (70067643)
亀井 清 関西大学, 工学部・金属工学科, 教授 (70067411)
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研究概要 |
形状記憶合金は, 21世紀に向けてとくに有望な金属材料の一つとして, 世界の注目を集めている. けれども, そのうち最も高性能・高信頼をうたわれるチタン・ニッケル合金材料でさえ, 現在のところ100℃以上の温度では性能が劣化してしまって使用に耐えない. 本研究は, このような形状記憶合金の最高使用温度を200℃まで高め, そのうえ高い強度と優れた記憶特性を兼ね備えた新しい合金材料を, ベルギー・カトリック・ルーバン大学と共同で研究開発しようとするものである. CuーAlーNiーTiーMn合金の溶製と板材への圧延加工は, (株)神戸製鋼所に依頼した. その際, 研究分担者・亀井 清が目標合金組成と溶解作業方法を検討のうえ, これを指導した. 溶解規模は150kgで, 加工後には厚さ1.1mm,幅200mm,長さ320mmの板材となったもの18枚(総重量 約9kg)を入手し, 試料とした. その平均組成は, 11.8%Al,5.07%Ni,1.01%Ti,2.01%Mn,残部Cuで, 形状記憶動作のめあすとなるマルテンサイト変態温度はMs=126℃,Mf=105℃,As=125℃,Af=139, 材料の引張り強さはσ.ナ_<B.ニ>=84kg/mm^2,破断伸びδ=5.2%(10℃のとき)のものが得られた. 杉本孝一・赤松勝也は, 6月に試料3kgを携えてカトリック・ルーバン大学へ出向き, 3名の外国人研究分担者らと討議を重ね, 今後の研究の進め方を打ち合わせた. その際, 予想される材料のノーハウをめぐる無用な粉争を防止する目的で, 互いに研究協定を結ぶことを約束し, 数日の協議を経てその原案を作成し, 帰国した. この原案は, 引き続き双方で修正を重ねたうえ, 10月には双方がこれに調印した. 今後, 先端技術分野での国際共同研究においては, この種の協定の締結が両国間研究者の相互理解と, 大学院学生を含む多数の研究協力者達の協力態勢の強化のためにきわめて重要なことを痛感した. 10月にはフンベク講師を本学に招へいし, 合金の熱的安定性に関してこれまでに実施した予備実験のデータを示して, 互いに意見を述べ討議を重ねた. また, 3月中にはアーノート教授を本学に招へいし, 溶製した合金鋳塊の加工方法の検討を行う. また, 研究分担者中村康彦・杉本隆史らは, 本合金の恒温変態線図の作成, ならびに形状記憶特性予備試験などを実施し一定の成果を得た. 来年度以降も, 上記と同様の試験研究を続行して, 本合金の強度と動作温度のいっそうの特性向上をはかる研究を行う予定である.
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