研究概要 |
生理活性ペプチドの多角的かつ系統的検索とそれらが作動する未知の生体機序の解明を目指し, 生化学的研究を行い下記のような成果を得た. 1)ブタ脳より, 心房性Na利尿ペプチド(ANP)免疫活性物質を単離, 構造決定し, ブタ脳内ANPはα-ANP〔4-28〕とα-ANP〔5-28〕であることを明らかにした. また, ヒヨコ直腸弛緩を指標として, ブタ脳内より, ANPとは異なる26個のアミノ酸よりなる新しいNa利尿ペプチド(Brain Natruretic Poptile BNP)を単離し, その構造決定をした. 2)ビテロゲニン遺伝子の発現調節因子の候補であるVS蛋白質の染色体DNAを含む組み換え(入VS6)を単離し, その構造決定中である. また, ラットのガン細胞に特異的なクロマチン蛋白質(38k)を精製し, それと強く結合しTATAbox構造を含む約1.3kbのDNA断片をクローニングした. これを用いたノーザン分析で一本のポジティブバンドを得た. 3)視床下部、下垂体、性腺系に作用する新しい生理活性ペプチド検索のため、卵巣グラニュ-ロ-サ細胞、精巣セロトリ細胞、下垂体前葉細胞のみいよ培養系を確立した。卵巣グラニュ-ロ-サ細胞系ではLHリセプタD2産-、FSHリセプタ-、E_2生、プロゲステロン産生を指標にした活性測定系を開発し、ウシ卵胞液中に存在するパラクリンまたはオ-トクリン物質の検索中である。 4)カエル体皮に存在する二種類のペプチドC末端アミド化酵素のcDNAクローニングを行い, その一次構造を決定した. また, 塩基性ジペプチド結合切断酵素であり, 酵母のαファクターのプロセシングに関与すると思われるKEX2プロテアーゼについても, 遺伝子構造解析によりその一次構造を決定した.
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