大規模知識処理システムの研究

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 62065002
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 田中 英彦 東京大学, 工学部, 教授 (60011102)
• 研究分担者: 喜連川 優 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (40161509)
• キーワード: 知識処理 / 並列処理 / 推論マシン / 論理型プログラミング / 並列デバッガ / 並列ガーベジコレクション / 同時実行制御アルゴリズム / 関係データベース処理

研究概要

並列推論サブシステムに関しては、昨年度購入した並列推論サブシステム試作機上で推論ユニット16台分、及び、昨年度開発を進めた推論プロセッサ、及び、ネットワークインタフェスプロセッサという2種類のLSIの動作の確認を進めた。また、既に動作を確認済みの負荷分散機能付きネットワーク用LSIを昨年度開発した基板に392個高密度実装することにより、今後の並列推論サブシステムを完成させるために不可欠な、64台の推論ユニットを接続するためのネットワークの構築を終了し、これをテストするテスト装置を開発し、これを用いてネットワークの動作の確認を行なった。知識管理サブシステムに関しては、機能ディスクシステムのデータ分布の影響、並列処理度の影響など機能ディスクシステムの詳細な評価を終了すると共に、プロトタイプ機を構築しつつある。複数モジュール間の結合ネットワークの構築のためのスイッチングユニットをザイリンクスにより試作し、動作を確認した。並列論理型言語の研究においては、高速処理指向論理型言語FLENG--のコンパイラの作成を行なった。そして、FLENG--の特徴の一つである単一参照アノテーションについてその効果を調べ、メモリ消費量の低減、無駄なコピー処理の除去による実行速度の向上の両面で効果があることをシミュレーションによって確認した。また、オブジェクト指向機能を持ったユーザ向け言語であるFLENG++の実用的処理系を作成し、FLENG++の記述性を確認することと、今後のプログラム開発環境のユーザインタフェスの基盤を用意するという目的から、ウィンドウシステムをFLENG++システム上に構築した。更に、このウィンドウシステムを利用して、今後のプログラムの開発に不可欠な、並列プログラムデバッガの設計を行なった。また、記号処理の基本技術であるメモリ管理に関して、オブジェクトの寿命の概念を導入して効率化を図った並列GCアルゴリズム第2版の提案を行なった。

研究成果

• [文献書誌] Martin Nilsson,Hidehiko Tanaka: "On MIMD Execution by SIMD Computers" Journal of Information Processing. 13. (1990)
• [文献書誌] Lu Xu,Hanpei Koike and Hidehiko Tanaka: "Distributed Garbage Collection for the Parallel Inference Machine PIE64" Proc.of IFIP World Computer Congress. 1161-1166 (1989)
• [文献書誌] 館村純一,田中英彦: "並列論理型言語FLENGのデバッガ" Proc.of The Logic Programming Conference '89. 133-142 (1989)
• [文献書誌] Masaru KITSUREGAWA: "Functional Disk System as a High Performance Relational Database Storage" International Symposium on Database Systems for Advanced Applications. (1989)
• [文献書誌] Masaru Kitsuregawa,Masaya Nakayama,Mikio Takagi: "The Effect of Bucket Size Tuning in Dynamic Hybrid GRACE Hash Join Method" 15th International Conference on Very Large Data Bases. (1989)
• [文献書誌] Tadashi Ohmori,Masaur Kitsuregawa,Mikio Takagi: "Concurrency Control of Bulk Access Transactions on Shared Nothing Parallel Database Machines" 6th International Conference of Database Engineering. (1990)