研究概要 |
昭和62年度は, ナイ秒パルス電子, 発生装置, エキシマレーザー装置およびパルスレーザーラマン検出装置, イオン発生装置および超高真空チェンバー等を購入し, 過度的ラマン効果測定装置および固体内部に対する二重励起分光装置を完成し, 陽子エネルギー損失表面分析装置および固体表面に対する二重励起分光装置の一部を製作した. 63年度においては, 残りの装置を完成すると同時に, これらの装置を用いた研究を開始する. 昭和62年度においては, さらに既存の装置を用いて次の研究を行った. 1.GaP結晶の表面のレーザ照射による構造変化について, その波長依存性を求め, 間接吸収端付近で構造変化の収量が大きくなることを示した. この結果は, 表面層の電子励起によって構造変化が生じることを明確に示すもので, 今後, 二重励起分光等を用いてその機構解明に直結した実験を推進する. 2.結晶石英とアモルフアス石英について, 電子励起による構造変化およびその前駆状態と考えられる自己捕獲励起子の再結合発光を比較した. その結果, 両者の差異がアモルフアスの構造不整と関連していることを見付けた. 今後, 自己捕獲励起子の電子構造を明らかにする. 3.高密度電子励起Fでは, 自己捕獲励起子の再励起や自己捕獲励起子と自由励起子との衝突が生じる. RbIおよびNaCLについてこれらの過程を時間分解光測定により明らかにした. 4.表面構造変化測定用に高分解能陽子エネルギー分析装置を試作中である. これを用いて得ることが出来る知見を明らかにするため, 表面散乱イオンのエネルギースペクトルの模擬計算を行った.
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