研究概要 |
神経細胞細胞骨格の分子構築及びその物質組組成生化学急速凍細電子顕微鏡法とモノクローナル抗体を用いた免疫細胞化学を組み合わせ研究した結果, 樹状突起内の骨組みをつくる微小館の束は, 主に微小管関連蛋白MAPIと2からなる架橋構造により結合されている事およびニューロフィラメントと微小管がMAP2を主体とする架橋構造により結合されている事を明らかにした. 又MAP1Aが100nm長の桿状分子である事, 及び主なMAPの一つであるタウが約50nm長のやはり桿状分子であり, 微小管の間に短い20nm弱の架橋構造を形成する事を明らかとした. 又このタウの微小管上の結合部位は, . MAP2と競合するが, MAP1Aとは競合しない事を明らかにした. ラット脳より作製した, cDNAライブラリーからタウのcDNAを分離する事に成功し, タウの一次構造を決定した. その結果を用いてin situ hybyridizationによるmRNAの局在を現在行っている. ニューロフィラメントの分子構築を再構成系を用いて研究し, トリプレット蛋白の内, H(200KD)とM(145KD)のC末端部が細長く伸び出してニューロフィラメント間の架橋構造を形成する事を明らかとした. PC12細胞や培養神経細胞にビオチン標識したチュウブリンを微量注入し, 抗ビオチン抗体を用いて神経細胞内微小管の動態を電子顕微鏡レベルで解明する事に成功した. 神経細胞には細胞体内に多くの細胞で存在する微小管形成中心がなく神経突起内をチュウブリンはフリーの形で運ぶ突起内に存在する微小管のプラス端(末梢側)に組み込まれる事が明らかとなった. 従来考えられていた様な構造体として運ばれるという常識が誤りである事が証明された. シナプスの膜と細胞骨格構造の全体像を明らかとしアクチンとシナプス小胞, 微小管とシナプス小胞を結合している細腺維の存在を初めて記載し, それがシナプシンIでありシナプス伝達の過程でこの構造が重要な役割りを有している事を明らかとした.
|