研究課題/領域番号 |
62065009
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
志村 令郎 京都大学, 理学部, 教授 (60025426)
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研究分担者 |
岡田 清孝 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所・細胞生物学研究系, 助教授 (50101093)
坂本 博 京都大学, 理学部, 助手 (00187048)
安田 国雄 京都大学, 理学部, 助教授 (30025473)
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キーワード | mRNA前駆体スプライシング反応 / 第二段階反応 / アビジンービオチンの特異的親和性 / マウス免疫グロブリンμ鎖遺伝子 / 二次構造 / Sex-lethal(Sxl)遺伝子 / transformer(tra)遺伝子 / ノースウエスタン法 |
研究概要 |
HeLa細胞核抽出液とδークリスタリン遺伝子由来の人工メッセンジャーRNA(mRNA)前駆体を用いたin vitroスプライシング系において、アビジンービオチンの特異的親和性を利用してmRNA前駆体を固定化する方法を開発し、これを基質にした反応系を用いて、スプライシング反応の第二段階に熱感受性および熱耐性の少なくとも二種類の蛋白性因子が必要であることを明らかにし、これらの因子を部分精製することに成功した。 一方、スプライス部位が選択されることによって遺伝子の発現が制御されている二つの遺伝子系について解析を行い、新たな知見を得た。第一の系はマウス免疫グロブリンμ鎖遺伝子である。この遺伝子は分化段階に特異的なスプライシング反応を受けることによって膜結合型、分泌型の二種類のmRNAを産生するが、この制御に重要だと考えられるイントロンの3'スプライス部位付近に二次構造を形成しうる配列を発見し、この二次構造がin vitroおよびin vivoの両方においてスプライシング反応に抑制的に働くことを明らかにした。第二の系として、キイロショウジョウバエの性決定遺伝子群の発現制御を解析した。我々は特に最上位に位置するSex-lethal(Sxl)遺伝子と、その下位に位置するtransformer(tra)遺伝子に注目し、雌型のSxl遺伝子産物がtra遺伝子のmRNA前駆体に作用して雌型のtra-mRNAを産生させることを、培養細胞の系を用いてはじめて明らかにした。また、ノースウエスタン法という新たな方法を開発することによって、雌型のSxl遺伝子産物が直接的にtra-mRNA前駆体の性に非特異的な3'スプライス部位付近に特異的に結合することをin vitroで明らかにした。
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