研究分担者 |
竹平 勝臣 通産省工技院, 化学技術研究所, 課長
山村 和夫 京都大学, 工学部, 助手 (80108761)
谷沢 和隆 北海道大学, 薬学部, 助教授 (90001049)
田中 渥夫 京都大学, 工学部, 教授 (80026088)
国武 豊喜 九州大学, 工学部, 教授 (40037734)
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研究概要 |
生体系に見られる各種の集積場のモデル研究に焦点をあて, 昨年につづき機能設計原理の確立およびその展開を目的とする研究を遂行した. まず包接化合物を高分子の反応場として利用し, 特異な構造をもつ高分子の合成を目的として, 天然物のデオキシコール酸などをホスト分子とする重合反応を研究した. その結果, 包接系内で生長ラジカルが長寿命であること, かさ高いブタジエン誘導体でもうまく重合が進行することなどを見出し, 包接空間とモノマーの重合性との関係をさらに明確にすることができた. また新らしい型の人工細胞として, 反応制御機能をもつ人工細胞の設計のため, 卵黄のレシチンによる人工リン脂質二重膜を合成した. その膜内に設計されたフラボ脂質が極めて高い電子輸送能を示す触媒となること, またこれを利用して膜輸送電子流束の制御が有効に達成された. またキラルな分子より構成される二分子膜は適当な条件下で, らせん超構造体を形成することも確立された. さらに金属錯体系を触媒とするシクロペンテンの酸素酸化反応で銅の酸素活性化とパラジウムのオレフィン活性化の両機能が集積されて進行すると考えられる, 高効率の酸素酸化系を設計することに成功した. これはチトクロムP-450の人工モデル系として興味がある. また酵素機能の発現因子の化学的解析を目的としてモデル化合物の研究を行う一方, 酵素の活性部位の解析によって新らしいドラッグデザインへの展望を開くことができた. また細胞のもつ機能を理想的に発現させるために, これを包括固定化して有用物質の生産に応用する試みについては, 微生物および植物細胞の化学的固定化の方法をさらに一歩押し進め, 複数の酵素の固定化によるペルオキシソームモデルの構築の可能性を得ることができた. これらの研究に関連して, 人工タンパク質合成のモデル系としてのミトコンドリアの特徴を明らかにし, セリンt-RNAの単離法をも確立した.
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