研究概要 |
血中の薬物濃度の経時的な測定が必要であるテオフィリンおよびジゴキシンのセンサーを開発することを目的とし, 前年度に引き続きリポソームを利用するメンブレンイムノアッセイを検討した. 研究代表者(鈴木)は, 蛍光色素カルセインの自己消光を利用するフルオロイムノアッセイを取り上げ, 特にリポソーム膜の素材を比較検討した. また研究分担者(芳賀)は, 化学発光酵素イムノアッセイとリポソーム膜破壊反応とを組み合わせる高感度化の研究を行った. I.メンブレンイムノセンサーに使用するリポソーム膜素材 リポソーム膜の主構成脂質をDilauroyl phosphatidyl choline(DLPC)とするがさらに再現性と感度の向上を図り, 副素材としてcholesterol analogueを合成し, その添加効果を比較検討した. 各種analogueの添加モル比を変えて封入された蛍光色素の抗体による遊出率を比較した結果Triethoxycholesterolのみが有意にimmunolysisの効率を増加させることが明らかとなった. 特に添加モル比DLPC:chol:triethoxycholesterol-111のときその効果は最も顕著であった. この組成で得られたリポソームは極めて安定であり, 一ヶ月以上の保存を行っても膜破壊などが観察されない. また本法によってテオフィリンは10^<-8>M〜10^<-10>Mの範囲で定量が可能であった. II.化学発光を利用するリポソームイムノセンサー 本年度においてはリポソーム内にグルコースオキシターゼ(GOD)を封入し, sensitizerとしてメリチン ウアバイン複合体を利用し, 反応の結果遊出するGODにグルコースを加えたときに発生するH_2O_2をペルオキシターゼとイソルミノールによる化学発光として測定した. 本法により10^<-〓>M〜10^<-8>Mのシゴキシンが定量可能であった. なお一層の感度の上昇が期待できるのでその条件を検討中である.
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