研究概要 |
1.高エネルギー物理学研究所において陽子シンクロトロンを利用した実験・研究をすすめた. 今年度はデータ解析を中心に行い, 4GeV/Cπ^-+C→Λ+X反応による後方生成Λ粒子の包含微分断面積および偏極度の解析を終了した. 結果として;1)ローレンツ不変微分断面積は指数函数的T-依存性を示す. 2)T_oパラメータは後方角で〜21MeVとなり, 陽子生成の場合の〜45MeVと較べて大変小さい値を示す. 又, 2.9GeV/cでの後方Λ生成(C, Xe混合標的)の場合の〜36MeVと較べても大変小さい. これらのことは, この反応が入射エネルギーあるいは標的核の質量数に大きく依存していることを示す. 3)偏極度は後方角で〜0.6という大きな値を示すことがわかった. 2.9GeV/cの実験結果は全く逆の傾向(〜-0.9)を示し, 入射エネルギーあるいは標的核の質量数に強く依存していると考えられる. ;等の知見を得た. 現在, いくつかの理論計算との検討をすすめている. 又, これらの結果をもとに前方スペクトロメータ系を組み込んだ新たな実験を計画し, 提案した. 2.実験データを高速にオンライン処理し, 意味のある反応事象だけを選別して収集する為のインテリジェント・CAMAC・ブランチドライバーについて, そのデータ処理系の開発研究を行った. 今年度は, 飛跡認識のソフトウェアの研究を行った. π^-+C→Λ+Xの実験データを用い, ツリー・アルゴリズムによる飛跡認識のソフトウェア(FORTRAN言語使用)を作成してその評価を行った結果, 現在の検出器の持つ分解能と効率の範囲で〜86%の飛跡認識が可能であることが示された. 今後, 分解能と効率を上げることにより, 〜100%迄容易に改善できるという見通しが得られた.
|