研究概要 |
光応答材料は多種多様の情報形態の変換, 伝達, 記録, 再生のための新材料として, 実用されている電子磁気材料を機能的に凌駕するものとして, 将来に期待をおかれている. 本研究は, この材料実現のために, 広域波長増感触媒による界面光誘起電子移行の分子論的設計と制御を中心に, 具体的に, 機能中心の精密分子設計, 分子集合状態の設計制御可能な材料化方法, 分子レベルでの応答機能を保持できるマトリックス, 分子, 分子集合体, 材料などの接合における界面現象の制御とその設計の4つの課題をもって, 研究の展開を行ってきた. 昭和62年度は, 昨年度に実行してきた(1)多次元情報変換分子の設計とその共役機能, (2)導電性ポリピロールLB膜の調製, (3)電気化学的ドーピングを利用した導電性高分子修飾電極の機能複合化の予備的研究結果をふまえて, これらを定量的に検討し, その材料化をはかるとともに, 新たに, 可視光増感酸化重合による導電性高分子薄膜の調製を(4)として加え, 以下の研究実績を得た. すなわち(1)多次元情報変換分子として, 光情報と化学(酸化還元)情報の2つに共役的に応答する2ビット型刺激応分子と, 2つの性質の異なる化学情報(酸化還元と酸アルカリ)に共役的に応答する2ビット刺激応答高分子の2つを創製した. (2)両親媒性ピロール誘導体LB膜とその積層膜の特異的な重合による導電性異方高分子膜の定量的評価と, 両親媒性アニリンLB膜の調製とアモルファス重合体のLB膜構成を加え, さらに, これらLB膜の分子論的転写の可能性を示した. (3)電気化学的ドーピングを利用した導電性高分子の機能の複合化を実現した. (4)導電性高分子のミクロファブリケーションとして, 可視光増感酸化重合法を開発し, 酸化的電子移動機構を色素増感系に適用して, ポリピロールの二次元パターン形成を実行し, 導電性高分子の三次元リソグラフィの可能性を示した.
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