研究概要 |
線虫のcDNAファージライブラリーを選択することにより, いくつかのcDNAクローンを得て, pUCプラスミドに再クローン化した後塩基配列決定を行った. プローブには, 線虫遺伝子DNAの発現プラスミドライブラリーを抗線虫トロポミオシン抗血清で選択して得られた陽性株からのプラスミドで, トロポミオシンの190から225番目のアミノ酸をコードしているDNA断片を用いた. 塩基配列決定及びアミノ酸への翻訳には新しく購入した自動塩基配列入力装置及び塩基配列解析ソフトを利用した. これまでに, 既知トロポミオシンと比較して5-241番目のアミノ酸配列に相当する部分を決定した. うさぎ骨格筋α型や, ショウジョウバエ筋肉型トロポミオシンと比較して50%以上の相同性を示した. 本来の目的である, 線虫トロポミオシンがどの型のトロポミオシンに相当するかは, 特異性を決めているC末端部分を決定しなければわからない. 現在, cDNA及び遺伝子DNAライブラリーを選択して候補株を選び解析中である. 塩基配列決定に用いたDNA断片を発現ベクターに組込み, 大腸菌内で生産された融合蛋白質の免疫化学的解析から, これらの融合蛋白質を用いて, アクチン, トロポニン等の蛋白質との相互作用を調べたり, 遺伝子DNAを含むラムダファージと線虫遺伝子コスミドライブラリーの結果を計算機で処理することにより, トロポミオシン遺伝子の染色体上での位置を決める研究への手がかりがえられた.
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