研究課題/領域番号 |
62300008
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
渡辺 金一 一橋大学, 名誉教授 (50017513)
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研究分担者 |
栗原 尚子 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (80017623)
加藤 博 東洋大学, 文学部, 助教授 (10134636)
松木 栄三 宇都宮大学, 教養部, 教授 (50008033)
中村 喜和 一橋大学, 社会学部, 教授 (40012356)
竹内 啓一 外務省外務事務官在ローマ日本文化会館, 館長 (00017617)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | 地中海世界 / 内陸部 / 沿岸部 / 地域的連接 / ギリシア / イタリア / スペイン |
研究概要 |
都市は、農村部との関係において、結節点ならびに中心点としての機能をもつことはよく知られている。本研究の目的は、「地中海世界」という文脈の中で、都市と農村部との関係にみられるかかる普遍的パターンを地理学的歴史学的に分析を試みるものであった。主要な具体的研究テーマは、財・人・サービス・情報の移動、社会資本・所得の空間配分、中央・地方行政形態にみられる「地中海世界」的諸相の解明である。研究は、以下の三段階の手続きを踏むことによってなされた。第1に「地中海世界」を構成する個々の地域・国家、具体的には、エジプト、シリアをはじめとする中東諸国、ギリシア、イタリア、スペインなどのヨーロッパ諸国において、上記のテーマ関する諸特徴を指摘する。第2に、これらの諸成果を「地中海世界」の枠組のなかで、とりわけこの世界の北半分であるヨーロッパ世界と、南半分である中東、イスラム世界との対比のなかで比較検討する。第3に、第1、第2を踏まえて、「地中海世界」と他の世界との比較を試み、当該テーマに関する「地中海世界」の一般性と特殊性を導く。以上のような研究手続きをふまえ、財の移動、財を通じての社会(地域)統合に関して、渡辺は、ビザンツ社会の統合モデルを「再分配」機構に求めその本質を考察し、斎藤は穀物補給政策に焦点をあて、16世紀都市国家ヴェネツィアと後背地農村地域との関係を分析した。また中沢はオランダの地中海交易、立石はスペインの自由貿易を分析することにより財の移動を通じての地域間連接の実態を明らかにした。人の移動・統合に関しては、加藤が、19世紀のエジプトの近代化過程において遊牧民社会を国民軍との関係で特徴づけ、中村が、巡礼という宗教的行為を通じてロシア社会とビザンツ社会との関係を歴史的コンテクストの中で考察した。情報についての分析が不十分であったものの全体として研究課題について成果をあげたといえる。
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