情報技術の発達とその都市・産業システムへの影響に関する多目的研究

1988 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 62300012
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 瀬尾 芙巳子 京都大学, 経済研究所, 教授 (50027570)
• 研究分担者: 有賀 健 京都大学, 経済研究所, 助教授 (60159506) ; 坂和 正敏 岩手大学, 工学部, 教授 (70093507) ; 茨木 俊秀 京都大学, 工学部, 教授 (50026192) ; 折下 功 豊橋技術科学大学, 知識情報工学系, 教授 (90062744) ; 福地 崇生 京都大学, 経済研究所, 教授 (60091922)
• キーワード: 価値のトレード・オフ / マクロ軽量モデル / 市場探索行動 / R&D活動 / ファジイ回帰分析

研究概要

本年度は主として昨年度の研究成果を更に拡充すると共に、新たな視点を付加することによって、いくつかの新たな研究課題についての研究を行なった。その主要な内容は
(1)情報ネットワークの形成の地域開発への影響に関する事例研究。
(i)本研究の方法論的な特色である多目的評価方法を、地域効用関数の評価を基礎とした、新情報ネットワークの形成のための地域政策の評価に適用し、大阪府下の経験的データを用いた分析を行なった。そこでは数理計画法の活用による政策目的間の価値のトレード・オフの明示と、ゲーム理論を用いた統合ネットワークの有効形成問題への拡張が行なわれた。
(ii)近畿圏の地盤沈下の問題を、特に都市間距離短縮の効果との関連において、マクロ計量モデルの利用にもとづいて分析した。
(iii)都市間の多品種の物流問題を解くためのアルゴリズムの開発が行われた。
(2)システム評価におけるあいまいさを含む意思決定に関する研究。
(i)従来の統計的な回帰分析に含まれるあいまいさを処理する方法について、ファジイ集合論にもとづく可能性分布についての分析などにもとづいて、ファジイ線型回帰分析を行なう方法が提案され、都市の商業的取引に関連する事例研究に応用された。
(3)新技術一般の発展(R&D活動)が立地要因と関連する状況について、社会的要因の重要性を明示的に含むモデルの研究が行なわれた。
(4)市場における均衡的な取引行動において、市場に参入する人々の探索的な行為の効率性が重要な役割を演じる事についての経済理論的な研究が行なわれた。

研究成果

• [文献書誌] 瀬尾芙巳子: Toward Intractive and Intelligent Decision Support Systems. 2. 393-402 (1987)
• [文献書誌] 瀬尾芙巳子: Cybernetics and Systems '88 Part 2. 835-842 (1988)
• [文献書誌] 瀬尾芙巳子: Information Technology: Social and Spatial Prespectives.214-236 (1988)
• [文献書誌] 瀬尾芙巳子: KIER Discussion Paper,No254. 1-47 (1988)
• [文献書誌] 瀬尾芙巳子: Improving Decision Making in Organizations. (1988)
• [文献書誌] 茨木俊秀: システムと制御. 31. 837-843 (1987)
• [文献書誌] 茨木俊秀: 電子情報通信学会論文誌A. J71-A. 71-82 (1988)
• [文献書誌] 茨木俊秀: 電子情報通信学会論文誌A. J71-A. 804-810 (1988)
• [文献書誌] 茨木俊秀: Discrete Applied Mathematics.
• [文献書誌] 茨木俊秀: Information Processing Letters.
• [文献書誌] 折下功: "Theories and Policies of Technological Development at the Local Level." (1989)
• [文献書誌] 福地崇生: "La Industria Mexicana por Escala Productiva" Secretaria de Comercio y Fometo Industria y JICA, (1988)