研究課題/領域番号 |
62300013
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩田 志郎 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (50027398)
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研究分担者 |
森 武三郎 科学技術庁, 放射線医学総合研究所, 主任研究官 (00166357)
加藤 義雄 科学技術庁, 放射線医学総合研究所, 部長 (30161128)
安倍 弘彦 久留米大学, 医学部, 助教授 (20080658)
神代 正道 久留米大学, 医学部, 教授 (90080580)
畠山 茂 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (30045926)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | トロトラスト / 放射線内部被曝 / 放射線晩発障害 / 肝悪性腫瘍 / トリウム燃料 / BEIR報告書 / 血管内X線造影剤 |
研究概要 |
過去10年間、エネルギー特別研究(1)「トリウム系燃料原子炉に関する生物学的基礎研究」の一環として、本邦で1930〜1940年代に血管内X線造影剤として使用されていた「トロトラスト」被注入者のうち、約800例の疫学的調査が行われた。その結果、トロトラスト注入後20〜50年間に、晩発障害としての肝悪性腫瘍、白血病等の発癌や、肝硬変、悪性貧血等の病変が、体内に蓄積されたトリウムとその娘核種からの放射線の内部被曝に強い相関のあることが認められた。このことはトリウムのみならず、ウラン、プルトニウム等原子炉燃料の主要材料による放射線障害についての基礎資料を提供し、今後の原子力開発における安全性確保のための指針を導いたと言い得る。しかし、小線量内部被曝による放射線障害については未解決の問題が多く残されており、特に障害の病理学的研究は緒についたばかりである。そこで、これらの諸問題を解明するための総合的研究として、 (1)トロトラスト注入後30年以上の生存者の病態ごとの疫学的及び臨床的調査を行う。 (2)これらの病態ごとの病理学的研究を基にして、障害発生機構の解明と障害防止並びに治療の方法を探索する。 (3)そのために正確な体内被曝線量を放射線物理学的並びに放射化学的手法により評価する研究を行う。 (4)得られた成果についての国際会議での発表、並びに国内の関係する総合研究グループとの研究交流を行い、放射線内部被曝による晩発障害発生機構の解明につとめる。等を目的として本研究班を組織し、昭和62年度から2年度にわたり研究を行った。その結果、本研究班の成果に関する8論文が米国「電離性放射線の生体影響委員会」からの1988年刊行報告書BEIR-IVに「日本のトロトラスト研究」の項に引用紹介された。また、同年10月米国ベセスタで開催された「ラジウムとトロトラストからのリスク」国際ワークショップにおいて5報の研究発表を行い、高い国際的評価を得た。
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